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童話、イラスト、物語だけを語ります。 個人的なことは書きません。 純粋に物語だけのブログです。
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佐井花烏月(さいかうづき)
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一応漫画家?
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漫画を描く事
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佐井花烏月(さいかうづき)ともうします。

ここのブログでは
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2019/09/23 (Mon)
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2014/10/23 (Thu)

5.安倍家の家庭

 夕暮れは龍のように光る雷が空を駆けめぐり、大粒の雨をしばらく降らした。
 そのため、頼光は自分の邸に散歩が終わった後帰っていったのだ。

 嵐の様な夕方が過ぎて穏やかな夜が訪れた。
 安倍晴明の邸全体が螢のように明るかった。
 それは呪術で作り上げた光だ。

「ってことがあったのよ」
 と葛葉は父晴明の部屋で食事をとりながら昼あったことを告げた。
 普通は家族で食事をとることなどないのだが、晴明の家風は特別である。
 子犬のコーエーは階で御飯を食べている。

「犬との子供ね……あり得るんじゃないのかな?」
 と晴明は温かい汁ものを飲みながら言った。

 「あなたも狐との間にうまれたのですものね」
 母は炎に御飯のおかわりを要求してにっこりと微笑む。

「じゃあ、私も狐の血がやっぱり繋がってるの?」
「繋がってる、でも人である為に犬に慣れないといけないぞ」
「わ、分かってるわよ父様。大分コーエーに慣れてきたし……それよりさ、人間と獣って結婚できるの?狐の話はよく聞くけどさ」

 狐の話は古代大和の時代の書物にも載っていることだ。
 狐は化ける、現に父が生まれている。

 ふいに、母のカグヤはフフッと笑った。

「月の力を借りるのよ。」
「月の力を借りる?母様が貸してるの?」

 母は月の住人で、父と恋に落ちて地球に暮らしている。
「そうじゃないわ。月は獣を統べる力を持っているの。人だって、月の力を借りて人がうまれるのよ。」


 月はとても神秘な力を持っている。
 獣は月の神を崇めているのだという。

「月の神は稀に獣の願いをきいて、人へと姿をかえてくれるのだそうだよ」
「へぇ~月の神様って凄いのね!」
 葛葉は神秘的な話に目をキラキラさせて感嘆した。

「きっと、その犬は宮を愛してしまって人にして下さいって願ったのね」
「そして結ばれて、その月夜丸様がうまれたのよ」
「だから、月夜丸って名前何だわきっと!」
 母子は二人してロマンチックな想像の恋物語にきゃあきゃあと浮かれて会話している。

「でも、その月夜丸様は生まれた時は犬の中で育ったのだろう?
その名前つけたのは偶然だと……」

 カグヤに頬をつねられて晴明はいいかけた言葉を渋々噤んだ。
 水をさすなということなのだろう。
 これ以上口をはさむとたとえ愛しの夫と言えど容赦はしないのが葛葉の母である。

 そんな二人をみて葛葉は楽しげに、ふふっと笑う。
 平安時代では奇妙な家族風景だが、これが葛葉の家の生活。
 この時代のどこの家族よりきっと幸せな家庭だった。
 

「コーエー、お手!」

 子犬は葛葉の差し出した右手に足を載せた。
 ちょっと、うれしくてコーエーの頭を撫でる。

「本当になれたのだね」
 父は葛葉の後ろから覗き込むようにその様子を見ていた。

「うん。なんだか恐くなくなったような気がする。」

「だろうね。
さっきの話の続きだけど、葛葉にはカグヤ……母様の力を持っている。
だから、獣を怖がってはいけないよ?」

「月は獣を従わせるから?」
「そうだよ。よくわかったな」
「だって……そう思ったんだもの……私は普通の女の子にはない力を持っていて、普通とは違う血をもっているなら・……って
 母様の話を聞いて、月の血を引いてるなら、コーエーを怖がっちゃいけないなと思ったの」
 照れながら葛葉は答えた。

「葛葉ちゃん……」
 相変わらず感の良さと深い考え方をする我が娘を誇らしく思えた。
 そして、とても愛おしく感じる。
 ふわっと、ふいに葛葉は晴明に後ろから、暖かく抱かれて、その腕にいつものように頬擦りをする。

「どうしたの父様?」
「可愛いな~ッて思ってね」
「もう!分かり切ったことじゃないの!」
 はは、そうだね。と笑いあって十分包容したらそっと離れる。
「今日って例の妖しでたりしないかな?」
「出たら出たでいいじゃないか。今日はお休みにしなさい」
 厳しいものではないが、有無を言わせない親の特権で命令する。

「もう父様ったら!私の信頼がなくなるのよ。……犯人は犬神を使うものなのよね…父様そう言う人知ってる?」
「う~ん道満殿……かな?でもあれは私を狙っていて庶民に手を出すような方じゃないしねぇ」

 道満とは父の永遠のライバルとか名のって時たま邸に訪れる変な人だという認識が葛葉にある。

 「月夜丸様ってこともあるかも知れないな……」
 ふと、晴明は犯人の疑いのある者の名を呟いた。
 「犬を抱えて消えてしまったなら、その消えた犬こそ犬神にして使役している可能性がある…」
 「でも…あの人、犬をとても哀れんでたし、犬に惨いことはできないんじゃないかな……」
 そう思いながらも、葛葉も怪しいと思う。
 死にかけた犬を楽にしてやるといって社や廃寺にいっていると月夜丸の従者が言っていた。
 もしかしたら、そこで何かの術をしているのかも知れないと、葛葉も思い当った。

 それが事実なら確かめたい!とうずうずして、父の顔を仰ぎ見る。
 その眼の輝きはとてもかわいらしくて、許してしまいたくなるのを晴明は、ゴホンとわざと咳払いをして、

「今日はもうそーゆーことは考えるの止めて、もう休みなさい。いつも深夜起きてるのだからね?」

 言葉は優しげだけど、目は笑っていない事に、葛葉は気づいて諦めることにする。言いつけを守らないと、この事件の仕事も父自ら打ち切る可能性があるからだ。

「……うん。そーだ!コーエーが入って来れないように綱で繋いでおこう……ってあれ?」
 やはり今朝のようなことは、まだ慣れないので、頼光の案で柱に繋いでおこうと思ったのだが、白い子犬のコーエーは気配もなくいなくなっていた。

「どこにいったのだろうね?」
 父の晴明も首を傾げたが、顎に手を当てて目を閉じ、コーエーの気を感じ気がついた。 

「あの子犬……もしかして……」
 私としたことが……とひとり晴明はごちた。
「父様?」

 神妙な顔をしている父を見上げる葛葉の頭に手を当ててなでる。

「ま、いいか。いつか帰ってくるよ」

 葛葉を不安にさせないように微笑んだ。


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