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童話、イラスト、物語だけを語ります。 個人的なことは書きません。 純粋に物語だけのブログです。
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佐井花烏月(さいかうづき)
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一応漫画家?
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漫画を描く事
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佐井花烏月(さいかうづき)ともうします。

ここのブログでは
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2018/11/16 (Fri)
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2014/10/26 (Sun)

11・カグヤの力

 翌日、右大将殿の妹の夫が獣に襲われたという話題が持ち切りになった。
 昼にはそのことが葛葉の耳にも入った。
 夕暮れに頼光を邸に呼んで詳しい話を聞く。

「ついに、貴族まで狙われたのね……こうなったら宮廷が動くことになるのかしら…」
「じゃあ、オレ達がしていたことを、他のやつらに取られることになるのか?」
と頼光は不満げだった。

「それは大丈夫だよ」

 と光栄が正式な直衣を着て庭先に現れた。
 宮仕の帰りらしかった。

「じつは、晴明様がその件を引き受けてくれたんだ。
でも、晴明さまは仕事だから僕がやることになったんだ。晴明様は宮中仕事で秋の季節は忙しいからね」

 微笑みながらいった。

「お前は忙しくないのかよ?」

 と不服顔で頼光は光栄に言う。宮廷陰陽師で自分たちの仕事を奪う事は同じ事だからだ。

「もの忌中ってことで、宮廷にはいけないってことになってるんだ」
「陰陽師がきいてあきれるぜ!」

 頼光は皮肉を言い放った後頭部に葛葉の拳が襲った。

「せっかく横取りされないようにしてくれたのに文句を言うなっ!」
 けれど、憎まれ口をたたくのは頼光だけではなくて、
 光栄の後ろからひょいっと、青いイメージの葛葉と同い年くらいの童子があらわれ、
「結局横取りだよな、葛葉がとろとろしている所為だぜ~」
と今は光栄の童式として使えている氷が口悪く言う。
 頼光はまっすぐに思った事を言うが、氷は確実に悪意をこめた憎まれ口をいうのだ。

 ひさしぶりの憎まれ口に葛葉は高欄から、すくっと立ち上がり氷めがけてとび蹴りをした。

「ぐは!!!」
「ひっさしぶりねぇ……!
その憎まれ口を聞くのは本当にひさしぶりで涙がでてきそうだわ!!」
 といい、氷の背にのり両腕で首をホールドして背骨をしゃちほこのようにそらせる。
「ごめんなさい、ごめんなさい!!葛葉さまはなにか考えがあってとろとろしておいでだったのですね!!」
「とろとろは余計じゃ!!!」
 さらに背骨をそらせて、背からぼきばきと音がなる。
 氷はバンバンバンっ!と両手で参ったの合図を出す。
 それが何時ものスキンシップでもありストレス発散となるのだ。
「葛葉ちゃんもう放してあげてよ~」
と炎が何時ものように止める。
すると、もう気がすんだのかパッと手を放して退く。
 葛葉は頼光のレフリー判定により勝利し栄光の笑みをうかべる。
 「くくくっ面白いよね葛葉達はっ」
 光栄はそのしぐさがとてもつぼに入っておなかを抱えて笑いをこらえる風をとっているが、葛葉の面白可愛さに萌え死ぬ寸前だ。
「なんか…いつもより凄い…
いびり方だったぜかなりストレスたまってんな……」

 氷は炎にそう呟いた。

 「そりゃねぇ……犯人の手がかりが掴めそうで、掴めなかったし、月夜丸の話を聞いて落ち込んでたんだよ」
「ふ~んって……月夜丸?」
 氷は光栄の方を見た。
 その視線を受けて光栄がいう。

「実は最初に報告された情報だと月夜丸という宮の息子に襲われたということだったんだ。」
 

「それっ!本当に!?」
 葛葉は信じられなくて、光栄の顔を驚愕した顔で見る。
 けれど、昨日父が憎いと言っていた事を思い出すと神妙の顔になってう葛葉はうつむいて冷静に考える。
 本当に殺す程憎かったのだろうか?
 そうしたら、今日じゃなくてもいいはずだ。
 
 
「その月夜丸のお父さんって死んじゃったの?」
「なんとか一命は取り留められたそうだよ。」
葛葉と頼光はホッとむねを撫で下ろす。

「それで、宮の口から獣にやられたという報告になったんだ。」
 それは、あからさまに愛しい息子を守る言葉だ。

 その言葉を信じられない貴族が葛葉の父の晴明を呼び出し、占わせたところ、晴明は今巷を騒がせる妖犬の所為だと断言して今日の京都じゅうに本格的に広まったということだった。
 どちらにせよ、陰陽師で調べさせ結果を追求するならそういう事になるだろうけれど、父は空気を読んでそう答えたに違いない。
 そして、光栄様を早速葛葉のもとへ行かせてくれたのだ。

「晴明様の情報によると、月夜丸さまは行方がわからないことが、怪しく思われている方もいるから、月夜丸を今日中に探してくれと言っていたよ」

 まだ最初の情報を疑っている方々がいる、月夜丸に親近をもった葛葉に悲しい思いをさせたくないと思っての忠告だった。

「取りあえず、月夜丸さまを探してみることだな。犬コーエーに後を追ってもらえば分かるんじゃないか?」
 頼光はそう提案した。
 ところが葛葉は困ったように頭をかいた。

「コーエー昨日からいなくなっちゃったのよ。
いつも夜になると消えちゃうの…」
「コーエーはあそこにいるよ」
「え・・・?」
 光栄は草の陰を指さす。
 すると、庭の影から、よろよろと、コーエーが現れた。
 葛葉はコーエーの体が透けていることに驚いた。
 コーエーは葛葉の顔をみると安心するようによろけて倒れた。
「コーエー!?
しっかりして!」
 触ろうとして、体が透けた。

「これは?どうなってんの?」
「この犬は……魂だったんだ……」

と光栄はいった。

「晴明様が言っていたよ。
 月の力を借りて形を保っていたんだって。
 けれど、これは誰かにやられて魂の力を奪われているね…」
 葛葉たちが気付かなかったのは母カグヤの月の気に慣れているからだった。
 コーエーはだんだん薄くなっていく。

「ど、どうしたらいいの?死んじゃダメっっていうか消えないでっ」
 薄くなりつつも何かを訴えるように葛葉を見つめる瞳に、どうにか助けたいという思いと、助からないかもという絶望感で慌てふためくしかない。

 そのとき、凛とした清清しい月のイメージがする香が馨って来た。
 その香は葛葉の心を落ち着かせる効果を持っていた。

「葛葉、、その犬を私に貸しなさい」
 北の棟からあらわれた母のカグヤが威厳のある凛とした声で言った。
 そして、不思議なの力で、コーエーを浮かせ胸元に抱いた。

「く、喰われる!!たいへんだ!」
 と氷は叫び、カグヤは失礼なっという顔で手にしていた扇をブーメランよろしく投げ付け氷を気絶させた。

「『白』の生き物は神の使いでもあり神に愛されし獣。
お前の魂が癒されるまでの力を与えましょう……」

 カグヤの手は月の光のよう優しく光り、コーエーの魂を癒し力を与え輝いた。
 そして、犬の姿ではなく人の姿へと変えた。
 ただし、耳と尻尾が生えている。

『ありがとうございます。月の姫……この力は贄となりお返しいたします。』
と頭を垂れ、礼をする。カグヤは手をふって断った。

「いいのよ。まだお腹はすいてはいないし……非常食の贄は二匹いれば十分だから、ね?」
 カグヤは炎と氷を見て妖艶に微笑んだ。
 炎と氷は二人抱きあってざめた。
 
「毋様って凄い!」
 葛葉はキラキラさせ尊敬の眼差しである。

「じゃ、がんばってね」
と気さくにいい自分の部屋へ帰っていった。
だが、言い忘れたことがあったかのように、柱に手をかけ止まり、

「あ、氷あとでその扇を持ってきてね」
い、嫌だ……絶対に!
と氷は心の中で叫んだ。

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