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童話、イラスト、物語だけを語ります。 個人的なことは書きません。 純粋に物語だけのブログです。
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佐井花烏月(さいかうづき)
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佐井花烏月(さいかうづき)ともうします。

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2011/04/08 (Fri)
 「ただいまーカイト」

すずさんは深夜に帰ってきた。
僕はいつもなら子犬のように御主人様の帰りを待ちに前ったように

「お帰りなさい!」
と喜ぶところだったが、

「遅かったね、すずさん…御飯を作って待ってたのに…」
テーブルの上にはいつものように鈴さんと食べるための御飯を作ってラップをしてある。
まるで、浮気帰りの夫を皮肉っぽく待ち続けた妻のような感じだ。
僕はあの後から未だ怒っていた。

「なにいってるの?私遅いっていったじゃない。一人で食べていてって」
「聞いてませんでした!」
怒ったような声で僕は反論した。

「聞いてないあんたが悪いんでしょ!」

すずさんも怒ったように僕以上に声を荒げて、ゴツっとすずさんの怒りの鉄拳が僕の頭を一発襲った。
理不尽に怒っている僕への制裁だ。
僕も理不尽だと思う。


僕が勝手に怒ってる。
無言なままで、すずさんは着替えに部屋に入っていった。
怒っている理由としてはホストのことだ。
ホストって、男に甘えたい女がお金を渡して、つかのまの恋人気分を味あわせる仕事。
インチキな商売、遊びの恋じゃないか!
僕だって男だ。
すずさんが望むなら今まで以上に尽してあげて、優しくしてあげるのに…
すずさんのこと本当に好きだから…
だから、ホストに夢中のすずさんに怒っている。
着替えを終えて、トレーナーとジーパンのいつもの格好をして、向いの席の椅子にすわる。
すずさんは怪訝な顔をして僕をジッと見て言う。

「どーしたのよカイト…なんか機嫌が悪いじゃない?」

僕の何時にない雰囲気に気付いて、すずさんは心配しそうに僕に話し掛ける

「別になわけないでしょ!どうして機嫌が悪いのか分けをいいなさいよ。こっちだって、気分悪いじゃないの」

また鉄拳をくらわすような雰囲気だ。

すずさんの鉄拳はトラック運転手の拳骨より痛い。


「すずさん今日ホストクラブにいってたでしょ?ぼく見たんだからね…」

上目使いですずさんを睨みながら言う。
すずさんはどうしてそのことを知ってるんだというような驚いた表情だったが、ため息を一つつき、呆れたように
「だから、なんだっていうのよ。私がどこ行こうが、カイトには関係無いじゃないのよ」

関係ない…

確かに、関係ないかも知れない。
だけど僕はその言葉を否定する。

「いやだ!関係なくない!」

僕は隠していたすずさんへの想いを吐き出すように叫んだ。
「いやだ!いやだ!他の男とすずさんがいるのが嫌だ!僕はすずさんのことが好きだから!関係なくない」
「ちょっと、カイト何いってるのよ!落ち着きなさいよ!」


すずさんは僕をなだめようとしてか?それとも正気にさせようとして手を上げようとした、その腕を僕は受け止め、すずさんをどさりと床に組みしいた。

「カイト退きなさい!」
すずさんは掴まれた腕は床に着けまいとして強く押し上げようとするが、もっと強い力で僕がその腕を押さえる。
男の僕が本気を出すと、さすがのすずさんの力も適わないらしく力を抜いたずずさん腕を床にたやすく押さえ付けられた。
僕は顔をすずさんの耳元に近つけ、まだ伝えていない思いを囁くように口にする。

「すずさん…僕も男だよ…僕のこともみてよ…」
「カイト…っ!」



ぼくは鈴さんにキスをした。
首筋にひとつ。
そして唇にいたっては…
キスは初めてだったけどそれはディープなキス。
ドキドキと興奮して何も考えられなくなる…



けれど、ふと、暖かいな涙が、僕の顔に触れた。

ハッとして、唇を離し、すずさんの顔を見てみると、すずさんは泣いていた。
いつもは男らしいすずさんが女性らしく泣いていた。
脅えたような表情は初めて見た。

すずさんの掴んでいた腕の震えが伝わってきて、とっさに腕を放した。
そんなすずさんを見て、僕にグサっと罪悪感という槍が矢が突きささった。
そして物理攻撃としてすずさんの平手打ちが僕の頬をたたいた。
僕の頭の中は真っ白になった。
冷静になったのかも知れない。
さっきまでの熱や焦燥感は一気になくなった。

「カイト…変よ…変だよ…」


すずさんの声は震えていた。
僕はなんて事をしてしまったんだろう!
罪悪感の槍が思いっきりまた刺さる。
冷静になって考えてみると本当に変だ。
嫉妬して…すずさんにこんな乱暴なことをしてしまうなんて!

「ごめんなさい!すずさん!本当にごめんなさい!!」
と叫んではダッと、家を出ていった。

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