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童話、イラスト、物語だけを語ります。 個人的なことは書きません。 純粋に物語だけのブログです。
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佐井花烏月(さいかうづき)
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女性
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一応漫画家?
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漫画を描く事
自己紹介:
佐井花烏月(さいかうづき)ともうします。

ここのブログでは
イラスト付童話や小説を制作していこうと思ってます。

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2018/09/20 (Thu)
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2014/11/12 (Wed)

16.親子の絆

 事件が終わった深夜、妖犬とかかわった者たちがボロボロの姿で月夜丸の父宮のもとへ訪れた。
 宮のもとにいた者たちはどうした事か何があったかと慌てたが、月夜丸は宮を襲った妖しを追い葛葉たちと共に退治をしたということにしておいた。
 全くのウソではないから問題ないが、葛葉たちだけでは、月夜丸が犯人だと思っている貴族や邸の者たちに疑われたかもしれないが、加茂家の光栄がいた事によって信用が保たれた。
 落ち着いたころ合いをみはからい、宮を心配して来てくれた貴族や知人たちは己が邸へと帰って行った。

 葛葉たちは、都にはびこる妖犬の事は解決できたけれど、月夜丸の首には未だにあの紐がとれないでいた。

「月夜丸よく帰ってくれた……」
と宮は微笑んで帰りを待っていた。

「父上……すまなかった……怪我をさせて……」
「あまり傷はひどくない……シロが助けてくれたからな」
 包帯で巻かれた腹部のほうを、少しさすりながら宮は微笑む。
 月夜丸は一瞬、父に怪我をさせたほうを見て、すまなそうに眼を伏せる。
「母上は父上のことを恨みもせずに愛してました……恨んではいないと言っていた」
「そうか……」
 そう短く答え、嬉しいような悲しいような表情を隠すように父宮は俯いた。

 月夜丸は母が父を恨んでいると思って自分も父を恨んでいたが、違った。
 だから……

「父上……母上が恨んでいないなら……もう意地を張るのはやめる……あの時の済まなかったって言葉は本心なら……もう許すことにした」
 父の手をとってそう告げた顔は微笑んでいた。
 ハッとして月夜丸の顔を見た。
 そして初めてお互い瞳を見つめあう事が出来た…
 初めてみせる我が子の笑顔に父は驚き、暖かいモノが心から目から溢れていた。
 父宮はぎゅうっと、温かく強く月夜丸の手を握る。

「ありがとう……本当にすまなかった……ありがとう……」
と、心からくり返した。

 その言霊が月夜丸に胸に閊えていた何かをはずした感じかすると、紐は首から外れた。
 
 呪詛が外れたという事は呪いが、最後のわだかまりが解けたという事。
 これで、月夜丸は月の方に命を操られなくて済む。
 葛葉はほっとするものの、月の方…秋月のことが、気になっていた。
 落ちた紐を葛葉は無意識に取ろうとしたが、先に光栄が紐を預かった。
 それは何か意図があるのかもしれないと思い、光栄と目配せしてうなずき合う。
 その心が通じたのか、お互い笑顔になって改めてほっとする葛葉だった。 

 葛葉たちはその親子達の和解を見届けた後、そっと、邸を出た。

17.葛葉の家族会議

 今度は葛葉たちの家をどうするかだった。
 邸に帰り、事件に関わったものが寝殿に集まり晴明にことの真相をはなした。

 「そうか……秋月が……」
と晴明は深刻そうな顔で唸って考え込んだ。
 顎に手を添えて悩んでいる父の袖をぐいっと引っ張って葛葉は詰め寄った。

「どうして、秋月を捨てたの……?
どうして…弟がいるってことを隠していたの………?」
 と真剣な父を攻めるように問う。

 そんな葛葉を困ったように悲し気に見つめて、一つため息をはいた。
「べつに捨てたわけではない……だが……」
「双児だから?忌み子だから?」
 双児は忌み子としてどちらかを捨てるか、親戚に預けるかすることがある。
 父もそうやって、秋月を捨てたのだろうかと思った。
「あの子は、秋月は、母……辰狐である、葛の葉に預けるつもりでもいた……」
「それじゃ、捨てるのと同じじゃないの!!」
 葛葉は肯定したと思い、カットして頭に血が上り、バッと立って声をあらげて父を睨む。
「落ち着きなさい……」
 葛葉の腕を強く引き座らせる。
 葛葉はまだなにか言いたかったが父の厳しい目つきに黙って従うしかなかった。
「私は二人とも育てるつもりだった。
だが、秋月の力は生まれながらにして新月の力と獣の力が強かった。
それは辰狐を統べる者の証。」
「総べるものの証?」

 そう……と少し間を起き晴明は目を伏せて語る。
 母の葛の葉姫に秋月を預けるのは決まっていたことだった。
 人と獣が共存して生きていける世界を創るための統べる王が秋月だった。
 母で狐の王である葛の葉に預けるはずだったが、生まれたばかりの秋月は何者かによって攫われたのだ。
 辰狐である母にその事を問いただしてみたが、知らないという。
 だが心当たりはあった、大陸から来た、力ある狐が秋月の力を欲し攫ったのではないかと。
 相手は手がかりを置いていかなかったので今まで探しようがなかった。
「そして、今日手がかりとなるモノを手にいれました」
と光栄黒い紐を晴明に差し出す。
「これで手がかりが掴めるのではないでしょうか?」
 あの時もらってきたのはそのためだったのだ。

「よくやった、光栄」
 紐を晴明に預ける。
 晴明はその紐を触った瞬間にビリっと痛みが走ったらしく顔をしかめるが、秋月の悲しい心を自分の罪だと思いその痛みをしばらく握り続けた。

「秋月のことを一言も話さなくて済まなかった。
話しておくべきだったね。
だけど、いつかは話そうと思っていた。
話が理解できるようになったら……と」
 父の申し訳無さそうな表情で見つめられて、なんだかまだ府に落ちない心を落ち着かせる為に大きくため息を一つ吐いた。

「それが今日だってことよね…
……でも秋月が可哀想……」
と、うつむき、秋月の事を考える。
もしかしたら、秋月の立場に立っていたのは自分かもしれない。
 そして、双子なのに考え方が全く違うことを考えて口にする。
「秋月は人の命なんてモノだって言った……攫っていった狐って秋月のことをモノとしか考えていないのかも……」
 そっと閉められた首を撫でる。
 そういって首を閉めた秋月の思いが感じられて。
 そのことに気付き晴明は眉をしかめる。
 葛葉の細い首には青黒い痣が秋月の手の形で残っていた。
「でも父様……秋月を結局お祖母様に預けると言ったけれど、
それって、モノとかわらない言い方だと思う……」
 悲しそうに言う葛葉の真直ぐな言葉を聞き、晴明は苦笑した。

「そうだね、人の命、運命はモノじゃないね。
運命はその人そのもの。
人がどうこうすることじゃないけど、我が子のための決断は親がしなくてはならないと私は思うのだ。」
 迷いなどなくハッキリといった。

 その言葉に葛葉は納得した。
 確かにそうだ。
 何も分からない子供を導くのは親の役目だと思う。

「私もそう思うから、葛葉を晴明様にお願いしているのよ……」
 カグヤは子の教育はほとんど晴明に任せている。
 自分は人ではなく神に近し存在だから、葛葉に他ならぬ力を増させてしまう。
 それにカグヤは邸に常にいるわけではなく、贄を探しにに何処かに出かけることがしばしばである。
 だか、家族としてのスキンシップはふつうの家族より温かく絆も強いと確信はある。

「晴明様が導いてくれたおかげで、こんな可愛い良い子に育ったのだものね」
 とカグヤは葛葉に微笑み、痣になっているところに触れて消した。
 自分では気づいていなかったけれど、きっとひどい痣が首に着いていたんだろうと思った。
 それは月夜丸の首に巻きついていた紐のようなものだったのかもしれない。
「ありがとう…母様」
「いいえ、どういたしまして……それにしても……」

 カグヤは扇を握りしめている手をぐっと握る、笑みがスッと消えると目を、大胡ん色に輝かせて人並み鳴らない怒りがにじみ出てるのが周囲にいるものをおののかせた。
「秋月を攫った狐メ……みつけしだい…八つ裂きにして贄にしてくれるわ!」
 手にしていた扇がミシっと泣いてみんなは黙る。

「そ、それにしても、無事にそだっていることが分かって良かったじゃないですか」
 その場の雰囲気を明るくするため光栄はそういった。
 行方も分からず、もしかして、すでに亡くなってかも知れないと危惧していた晴明のためにも。
「それもそうだな」
 晴明は光栄の気遣いに微笑して答える。

「だけどよ~性格悪く育てられたものだよな。なんだか捻くれて……」
 と今まで黙っていた頼光がそう言ったものの途中で口を閉ざす。
 秋月の両親の目の前でいう台詞を言うものじゃないと思ったからだ。
 けれど、葛葉は大きく頼光の言葉に頷いた。

 「そうよね!!秋月のやつ本気で私を殺そうとしたり、命をモノ扱いしたりしてさ!むっかつわよね」
 葛葉は秋月の不満を怒りを現す。
 可哀想だと思っても許せいないのだ。

 「本当にどんな教育されてるんだか!!」

 葛葉は愛しの光栄様の目の前では、少しはお淑やかにしている事もわすれて怒りを現すように地団駄を踏む。
 
その様子を黙って見ていた炎と氷はとっさに手と手を取り合い怯える。

「ほんとうに、北の方さまそっくりだよな……」
「うん……」
と氷と炎は囁きあった。

「ま、ともかく、秋月のことは私が必ずみつけて連れ戻し、人間としての人格を育てるから、今日はこれくらいにしよう」

 晴明はパンパンと手をはたき、話を切り上げ終わらせる。
 皆の様子を見ればボロボロな出で立ちで、長く話をすることは無理だと思っていたからこの辺で家族会議はお開きになった。

 さすがに、気が抜けた、光栄と頼光は自分の邸にまっすぐ帰えっていった。
 もう、朝日が都を優しく包む時刻になっていた。
 頼光はさすがに疲れていて、晴明の命令で炎と氷に邸まで運んでもらい、光栄は物忌中なので、久々に出仕しなくていいから、邸に帰ったとたん眠りに着く。

 葛葉は一日中寝ていなかったので頭がボーとしてその場で寝ころんだ、すると、
晴明とカグヤは葛葉が眠るまでそこにいてくれた。
 子供扱いされていることに少し抵抗を見せてみたが、それは甘えである。
 こうして両親の慈しみを受けている自分は本当に幸せ者で、こうしてもらえない秋月に申し訳ないと思った。
 秋月はこういう幸せを本当に知らないのだろうか……

 そんな私をどこかで見ていて、憎んでいるのではないだろうか……
 心の底でごめんね…とそう思いながら意識は眠りに落ちていった。



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