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童話、イラスト、物語だけを語ります。 個人的なことは書きません。 純粋に物語だけのブログです。
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佐井花烏月(さいかうづき)
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佐井花烏月(さいかうづき)ともうします。

ここのブログでは
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2018/09/20 (Thu)
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2014/10/23 (Thu)

7・容疑者確保!

 昨日の雨はすっかり晴れて心地の良い風が葛葉の髪を撫でた。

「う、う~んいい天気!久しぶりにゆっくり眠れたし」

 高欄に座り朝日を浴びながら背伸びをしてまだ少し残っていた眠気を解放する。

 ワン!
 とあいさつするように白い柴犬のコーエーが吠えた。

 葛葉は一瞬ビクっとして高欄に腰掛けている葛葉を見上げているコーエーを見て驚いた。

「コーエー!お前どこにいってたのよ!」

 名前を呼ばれた犬は階(きざはし)を上がり葛葉の前におすわりをしてじっと見つめてくる。
 そして、かしげる様はとても愛くるしかった。
 だからなのか葛葉は、高欄から降りて、コーエーの頭を撫でる。

「もう、心配したんだからね」

 コーエーは、ワンっと吠え、葛葉の顔なめた。
 拭きたいのを我慢して、葛葉はコーエーに頭を撫でた。
 成れてきたぞよし!さすがは葛葉ちゃんと自分をほめる。

「葛葉!!大変だぞ!!」
 と血相をかえて頼光は駆けてくる。
「どうしたのよ?」
 頼光は全速力で走ってきたのか、息が落ち着くのを待って

「き、昨日の邸の男が例の獣にやられた!!」
 と声を大にして告げる。

「なんですって!?」


 頼光の案内でその現場にいくと、人だかりが出来ていて、血なまぐさい匂いがする。

 昨日の雨の所為で血が水たまりとともに流されていつもより広がって野次馬達はその血を踏んでいる。

 野次馬のを縫ってその殺された男の顔を見た。
 確かに昨日の男だった。
 頼光は口を押さえて気持ち悪さを堪えている。

「また、殺されたよ……」
「まだ怪異の原因は掴めてないのかい?」
「たしか、童の陰陽師が事件をおってるんじゃないのか?」
「子供に任せたのが間違いなのでは?
 はやく本物の陰陽師殿に任せた方が良かったのではないか?」

 と言う、周りの大人たちに葛葉は唇を噛んだ。

 悔しい……
 こっちだって頑張ってるのに……
 と、ぐっと拳をつくる。

 その手を頼光が握り。

「葛葉、気にすんな。
 こいつらは何もできない癖に口だけでいってる愚か者だ。
 口だけじゃない行動している俺達がそんなふうに言われる筋合いはない。
 犯人を早く捕まえて黙らせてやればいいさ…!」

「う……うん……ありがとう頼光」
 その手をぎゅっと感謝の気持ちを込めて握りかえした。
 頼光は顔がまっかになってニヤニヤと笑った。
 そんななか、ふと隣に犬の気配がした。

 …この気配はっ!

 振り返ると、月夜丸がいた。

 目は死体をみていて、口はクッと端を少々口を持ち上た皮肉な笑い方だった。

 ……もしかして犯人は…

「ねぇ月夜丸様」
 と袖を引き、小声で問うた。

 ん…と、葛葉を見た。
 一瞬じっと観察するように葛葉をみる。
 そして葛葉が言葉を発する前に

「やはり似ている……」

 と無表情で見つめ、そう呟くと袖を引いている手を振り切って人込みから逃げるように去っていく。

「待って!!!」 

 と葛葉もその後を追う。

「おい!葛葉?」
 葛葉がいきなり手を引っ張って駆け出すので頼光驚いた。

「このまま愛の逃避行か?」
 ほほを赤くしながら頼光は頓珍漢な事を言った。
 そんな、頼光に葛葉は冷たい視線になる。
「何意味不明なこといってるのよ!月夜丸を追うのよ!!」
「は?」


 取りあえず葛葉のいう通りに月夜丸を追う。
 だが、角をまがった月夜丸の姿はなかった。

「見失っちゃった……?」
「あいつ足が早追いつけないよ」

 そのとき、コーエーが吠えた。
 こっちに来言っているように、先頭たって、顔を葛葉に向ける。

「居場所が分かるの?コーエー?」

 ワン!と吠えると駆け出していった。
 葛葉と頼光は顔を見合わせ頷き合うとコーエーを追った。


 月夜丸は葛葉たちを巻くために、角を曲がると、両手を使い犬のように走り犬が埋められている社に来た。

 もう、恨みを晴したのだから、埋まっている死体を解いてやるために土を掘り返そうと思った。

 そしてその犬の屍を社の林に眠らせてやるつもりだった。
 そうすれば、鴉や他の生き物に命を繋ぎ自然の源に帰れる。

 だが、その犬の屍骸はなかった。

「なぜ、だ…?」
と呟く。

 いつもなら在るハズの死体はなくなっていた。
 すでに他の動物に食べられた形跡も、掘られた穴もない。
 もとからそこには何もなかったかのように……
 不可思議さにその場所に立っていると人の気配が近付いてきた。

 その者達から逃げようとした時。

 とても速い光の鳥が、月夜丸の横を過ぎ円を描き、光りの残像が縄となり月夜丸を捕らえた。

「な……何だこれは!?」
手足を光の縄が月夜丸の体を動けないよう手首を縛り、体をぐるぐると縛り上げた。

 さっきの不可思議さとは違った不可思議に戸惑う。

「ふっふっ~父様直伝、鳥高速お縄式神よ!」

「鳥と超をかけてあるんだな!?」
と頼光が突っ込む。

「待ってくれれば、こんな事しなかったのに」
 葛葉は縛られて座り込むしかない月夜丸をわざと憐れむように見つめていう。
 
「オレを捕らえてどうするつもりだ」
 そんな態度の葛葉に腹が立ちいつもより声を荒立てて問う。

「ちょっと、話を聞きたいだけよ。」
「話だと……?」
 月夜丸は不可解そうに眉を寄せ葛葉を睨む。

葛葉は月夜丸の目の高さに合わせて座る。
「あんたが呪詛してたでしょ?」
と単刀直入で聞いた。

話というよりか尋問だ。
月夜丸は睨んだまま何も答えない。

「昨日の犬を殺した男を呪って呪詛をはなったのでしょ?」
 フッと嘲るように鼻をならし苦笑した。

「証拠があるというのか?オレは呪詛などしたことなど無いし、やり方も知らぬ。」
「そうかしら?知らなくても他の誰かにやらせてたりして」

 一瞬瞳孔が揺らいだ。目を合わせて話す方法は父様に教わった。
 目は嘘をつけないと。

「そうなのね。他に誰かにいるねの」
「知らない」
 ばれたが、絶対言わない、言えば負けになる。
 目を閉じて口を噤んだ。

 これは絶対、はかないわね……と思い式神を解いた。
 月夜丸は突然解放されて葛葉を訝しむ。

「なぜ放す?」
「そうだぞ、葛葉!せっかく捕まえたのに」
「だって、縛ってたって話さないんじゃ同じじゃない。」
 呪詛を行なっているのが月夜丸じゃなければ、このまま捕まえても呪術を使っていないなら意味がない。

「それよりね、この事件の関係以外で聞きたいことがあるの。」
 葛葉はにんまりと微笑んだ。
 さっきまでの攻めるような表情じゃなくなった。

 月夜丸はその表情の変わり様にもさらに訝しみ眉間のしわがふかくなる。
「あんたの事聞かせてよ。本当に犬と人の子なの?」

「全然、事件と関係なじゃないか」
 と頼光が不満げにいう。
 そんな頼光の耳を思いっきり、ひっぱりその耳に口を寄せる。


「いいの、誘導作戦よ。気楽に話して犯人の情報を得るの!」
 と声を殺してコソコソと話す。
 頼光声は納得いったというように、手のひらで堤を打つ。
 でもそんなに上手くいくか?と不安にも思う。
 葛葉はパッと笑顔で振り向いて親し気に話し掛ける。

「私の父様も狐と人の子供なのよ」
「そう…なのか?」
 月夜丸はわざと意外そうに眉をあげて驚いたようだった。
そして、
「うまそうだな……」
 と口の端を釣り上げ意地悪気に呟く。

 うっと葛葉は一瞬怯んだが負けずに、
「そして、もっと凄いことに私の母様は月の国の姫だったのよ」
「月の国の……?」

 そのことには純粋に驚いたようだった。
 月夜丸のその表情にに葛葉は満足したように、業と腰に手をやり胸を張ってみせた。
「そうよっ!凄い?」
「さぁ……」
 とだけ答えた、月夜丸も興味なさげを再び装う。
 もとから口数が少なく警戒している為に話にうまく乗ってこない。

「あんたのお母さんてどんな人だったの?」
「人ではなかった……オレを生んでからは」

 だが、粘って質問した甲斐があったのか、それとも、己の出生を真に聞いてくれるひとはだれ一人いなかった心のさみしさからか……月夜丸は質問に答えてくれた。 

「聞かせてくれる?昨日の従者さんにちょっとだけ聞いてきになってたの」

 あの従者はそのことをまったく信じていないくせに、調子に乗って愚痴る時そのようなことを言いふらしているのだろう…
 どこからその話を聞いたか訝しんでいたがあいつだったかと舌打ちをした。


「そんなに聞きたいか……?」
「うん。」

 目をキラキラかかやかせて頷いた。

「俺の母は人に殺された……それも父にだ……」
「え……?」

 葛葉が想像して期待していた甘い不可思議な恋物語ではなく、とても悲しい物語のようだった。

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