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佐井花烏月(さいかうづき)
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職業:
一応漫画家?
趣味:
漫画を描く事
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佐井花烏月(さいかうづき)ともうします。
ここのブログでは
イラスト付童話や小説を制作していこうと思ってます。
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2014/11/12 (Wed)
葛葉姫鬼譚
19・いつか、きっと
空は清清しく晴れて過ごしやすく紅葉が風に舞って散る。
葛葉と頼光は月夜丸の邸に招かれた。
この間の礼をしたいということだった。
「こんなに犬が……」
葛葉は固まった。
月夜丸の住む東の棟の庭には子犬であふれ返っていた。
ざっと見ても二十匹はいるだろう。
子犬が葛葉や頼光に興味をしめし尻尾を振って近寄ってくる。
「葛葉犬に慣れたんじゃなかったのか?」
頼光は呆れたように固まっている葛葉に問う。
「う~ん……前よりは大丈夫になっただけだもの。シロはすでにこの世のものじゃなかったし」
「では、慣れるために、この子犬をもらってもらえぬか?」
月夜丸は白い犬を葛葉に渡す。
まだぎこちなく子犬を抱く。顔をぺろっとなめられた。
「う……」
嫌な顔をしてしまう。
「おいおい、葛葉ぁ~」
頼光は飽きられたように声をあげる。
「大丈夫だもん!あ~かわいい!!」
葛葉はなげやりに顔を子犬に頬擦りをしてみせる。
顔は固まっていたが。
その様子がおかしくて、頼光と月夜丸は声をあげて笑った。
邸に仕える女房が持ってきてくれた、高槻にのせてあるの饅頭を手にとりながら、三人は語り合う。
「俺はもうすぐ元服することになったのだ。」
ちょっと、照れたふうにいう。
貴族といっても落ちぶれているが、立派になって父や育ててくれた母に恩を返したいのだという。
義母の兄は右大将なので、がんばれば中流貴族くらいにはなれるだろう。
「おめでとう、月夜丸。私達と遊べなくなるのね」
「ざんねんだな…一緒に犬のしつけしたりするのも、葛葉を慣れさせるのも楽しかったのに」
二人は邪魔してはいけないと思ってそう言った。
元服して仕事するのは貴族の大切の仕事子供の自分たちとは遊べなくなるのは当然のことだ。
けれど、月夜丸は饅頭を食べる口を止めて、
「元服してもまた会いにきてくれぬか?初めての人間の友……だから……」
顔を赤くして最後は口籠った。
そんな、月夜丸をみて葛葉と頼光は顔を見て微笑して、
「うん!遠慮なくこさせて頂く」と声をあわせ答えた。
その言葉を聞くと月夜丸はほっとして一緒に微笑んだ。
月夜丸はふと澄み切った空を無表情に見つめながら語る。
「それにしても、月の方…
秋月は俺と同じだったのだ。
憎くて、悔しくて仕方がなく、親が許せなかった……
心を開けず、愛を素直に受け入れられなかった。
それを思うと俺は父と同じだとも思った。」
「月夜丸…」
葛葉もその気持ちを感じた。
自分には感じた事のない気持ちだけれど、秋月から伝わって来たのはその気持ちだ。
「受け入れるのは苦しいことなのだ。
自分の思いが違うと否定されることは……だが、受け入れてすまうと、苦しさがなくなり心が清清しくなる。そして他の道が見えてくる」
空から視線をはなし、そっと葛葉の手を握り、真摯の瞳で見つめる。
「秋月もきっと今苦しんでいると思う。
その苦しみを受け入れられる日が来ると俺は思う。それには、葛葉や両親の思 いが必要なのだ。」
月夜丸は葛葉の家族のことを心配してそういってくれた。
「うん……そうだね、ありがとう、月夜丸…」
月夜丸の言葉を胸とどめる。
夜丸の言う通りだ。
誤解を認め、和解することが必要だ。
家族と和解した月夜丸の様子を見るとそれが幸せなことで、秋月の未来のように思える。
だから、いつかきっと、秋月と分かりあえて家族として幸せに暮らせる日がくればいいなと葛葉は願うのであった。
葛葉姫鬼譚☆犬妖鬼☆おわり
葛葉と頼光は月夜丸の邸に招かれた。
この間の礼をしたいということだった。
「こんなに犬が……」
葛葉は固まった。
月夜丸の住む東の棟の庭には子犬であふれ返っていた。
ざっと見ても二十匹はいるだろう。
子犬が葛葉や頼光に興味をしめし尻尾を振って近寄ってくる。
「葛葉犬に慣れたんじゃなかったのか?」
頼光は呆れたように固まっている葛葉に問う。
「う~ん……前よりは大丈夫になっただけだもの。シロはすでにこの世のものじゃなかったし」
「では、慣れるために、この子犬をもらってもらえぬか?」
月夜丸は白い犬を葛葉に渡す。
まだぎこちなく子犬を抱く。顔をぺろっとなめられた。
「う……」
嫌な顔をしてしまう。
「おいおい、葛葉ぁ~」
頼光は飽きられたように声をあげる。
「大丈夫だもん!あ~かわいい!!」
葛葉はなげやりに顔を子犬に頬擦りをしてみせる。
顔は固まっていたが。
その様子がおかしくて、頼光と月夜丸は声をあげて笑った。
邸に仕える女房が持ってきてくれた、高槻にのせてあるの饅頭を手にとりながら、三人は語り合う。
「俺はもうすぐ元服することになったのだ。」
ちょっと、照れたふうにいう。
貴族といっても落ちぶれているが、立派になって父や育ててくれた母に恩を返したいのだという。
義母の兄は右大将なので、がんばれば中流貴族くらいにはなれるだろう。
「おめでとう、月夜丸。私達と遊べなくなるのね」
「ざんねんだな…一緒に犬のしつけしたりするのも、葛葉を慣れさせるのも楽しかったのに」
二人は邪魔してはいけないと思ってそう言った。
元服して仕事するのは貴族の大切の仕事子供の自分たちとは遊べなくなるのは当然のことだ。
けれど、月夜丸は饅頭を食べる口を止めて、
「元服してもまた会いにきてくれぬか?初めての人間の友……だから……」
顔を赤くして最後は口籠った。
そんな、月夜丸をみて葛葉と頼光は顔を見て微笑して、
「うん!遠慮なくこさせて頂く」と声をあわせ答えた。
その言葉を聞くと月夜丸はほっとして一緒に微笑んだ。
月夜丸はふと澄み切った空を無表情に見つめながら語る。
「それにしても、月の方…
秋月は俺と同じだったのだ。
憎くて、悔しくて仕方がなく、親が許せなかった……
心を開けず、愛を素直に受け入れられなかった。
それを思うと俺は父と同じだとも思った。」
「月夜丸…」
葛葉もその気持ちを感じた。
自分には感じた事のない気持ちだけれど、秋月から伝わって来たのはその気持ちだ。
「受け入れるのは苦しいことなのだ。
自分の思いが違うと否定されることは……だが、受け入れてすまうと、苦しさがなくなり心が清清しくなる。そして他の道が見えてくる」
空から視線をはなし、そっと葛葉の手を握り、真摯の瞳で見つめる。
「秋月もきっと今苦しんでいると思う。
その苦しみを受け入れられる日が来ると俺は思う。それには、葛葉や両親の思 いが必要なのだ。」
月夜丸は葛葉の家族のことを心配してそういってくれた。
「うん……そうだね、ありがとう、月夜丸…」
月夜丸の言葉を胸とどめる。
夜丸の言う通りだ。
誤解を認め、和解することが必要だ。
家族と和解した月夜丸の様子を見るとそれが幸せなことで、秋月の未来のように思える。
だから、いつかきっと、秋月と分かりあえて家族として幸せに暮らせる日がくればいいなと葛葉は願うのであった。
葛葉姫鬼譚☆犬妖鬼☆おわり
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