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童話、イラスト、物語だけを語ります。 個人的なことは書きません。 純粋に物語だけのブログです。
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佐井花烏月(さいかうづき)
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女性
職業:
一応漫画家?
趣味:
漫画を描く事
自己紹介:
佐井花烏月(さいかうづき)ともうします。

ここのブログでは
イラスト付童話や小説を制作していこうと思ってます。

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2013/05/23 (Thu)

「なんだか、二人いい感じじゃないっすかぁ!」
「そうだね。カイト君のエスコートぶりは完璧だね」

 二人を心配して後を付けてきた慎一郎とヒカルは微笑ましく二人を観察していた。

「ほとんど、絶叫系の乗り物ばかり厳選して乗ってたのはすずちゃんの趣味だね」
「メリーゴーランドはデートのお約束なのに目も向けないところがすずらしい」
「うちの娘もすずちゃんと同じで絶叫系好きだよ」
「そ、そうなの?」
 ヒカルは少しおののく。
 そんなヒカルに慎一郎さんはニヤリと笑って

「大丈夫、ヒカルは絶叫系苦手なの知ってるし、藍とはデートありえないから」
「いえ。ぜひご一緒させてもらいますよ」
「変態とは一緒にいかせられないね」
 にっこりとキツい一言をいわれて、くそうっとヒカルは真剣に悔しがる。

「あ、カイトくんソフトクリーム買いに行くのかな?」
「ここのソフトクリームは一つにしなきゃいかんぜよ!カイト!おいしいシュチュエーションなのに!」
「どういうシュチュエーション?」
「アイスをなめながらお互いの唇をなめあうという・・・」
「ヒカル、うちの娘とは絶対にデートさせないから・・・」
 慎一郎は今度は笑いもせず、声にもドスが利いていた。

 あれから、いろんな乗り物をはしゃぎながら二人楽しくいろいろ回った。
 あたりは夕暮れ、夜のパレードがあるらくしく、夜のパレードをみに子供客より大人客のカップルがおおくなってきている。

 はぁ・・・大人げなくデート楽しんでるなぁー自分。
 カイトがアイスを買いに並んでいる間にベンチに腰掛けて一息つく。
 女子高生の格好しなくても、気分はもう女子校気分に戻って言う感じ。
 目立つ私たちを目にした人や私たちより明らかに目立つ周りのコスプレ女子達から羨ましがられるのを感じたとき姉弟にみられてないってことに安心したのかもしれない。

 優越感もあったし・・・
 顔が少しにニヤケる。
 これがデートというものか・・・
 いつも以上にカイトが私を持ち上げてくれるのも楽しいなぁって思った矢先。

「あれ?寺野さんじゃない?」

 聞き覚えのある同僚の声が聞こえた。
 反射的にその声に反応をしなかったのは、頭の片隅に知っている誰かと鉢合わせするんじゃないかという不安があったから、知らぬふりで、うつむいたままにしてみた。
 思えば、私がデート反対した理由もそういう懸念もあった。
 賢明に知らぬふりで、下を向いているのに、人なつっこいこの佐野さんは私の顔を無理矢理のぞき込もうとする。

「寺野さんじゃないのかしら~?女子高生のカッコしてるしぃ~」
 分かってて、そういい回しする。
 そういう言い方が常の人で、無視していれば、回避できるけれど、回避できそうにない。
 罰ゲームと言い訳でもしておこうかと、思って顔を上げようとしたそのとき。

「俺の彼女になにしてるの?おばさん」

 カイトが佐野さんの肩をつかんで、のぞき込むのをやめさせる。
「え、え、いえ、なんでもない。です」

 カイトはその不良の格好でガンをつけるから、びっくりして佐野さんは逃げていった。
 その後ろに彼氏らしき四十代の男性が追いかけていくのが見えた。

「すずさん大丈夫だった?」
「う、うん・・・」

 緊張がゆるんだのと、とつぜんデート前の現実がおしよせてきて、

「私・・・いい年して、恥ずかしいよね・・・女子高生のコスプレなんかしちゃってさ・・・」
 自分でいうと恥ずかしさと情けなさが増す。
 なんでかナイーブになってる。
 佐野さんだって私と変わらないのに、カイトにおばさん呼ばわりされちゃって・・・・・・
 わたしやっぱりおばさんにみえるのかな・・・・・・と思うとなおさら落ち込む。

「私いつの間にかはしゃいじゃってた・・・年上なのにはずかしいぃよね・・・」

 制服の袖で涙を拭うすずさんは、どうみても女子高生にしかみえない。
 僕はむしろ、そんな高校生の服で涙を拭う仕草はとてもかわいらしくてきゅんとしてしまった。

「もう、帰ろうか・・・?」
 と、無理に笑顔で笑うすずさんにきゅんとしてしまう。
 それは制服とは関係ないけれどなんか、かわいい・・・ってときめいている場合じゃない!
 手に持っていたいたアイスがとろっと、手に落ちてきた。
「あ、アイス食べようよ。一個しかもってこれなかったけど・・・」
 すずさんのピンチだと思って一個だけもって、もう一個は後を付けていたらしいヒカルさんに奪われた。
 
「あんた。私の言ってたこと聞いてた?」

 すずさんはじとっとした瞳で僕をにらむ。

「うん、聞いてたけど、食べて」

 すずさんは仕方なく半分溶けたアイスクリームをなめるんじゃなくて、大口を開けて、三口で食べて、コーンもバリバリと食べる。
 それはいつもの行動。かわいく食べようとしないすずさんはいつものすずさんだ。
 そして、口の周りについたアイスクリームの残りを拭こうとする手の甲を僕は素早く手首をつかんでやめさて、
すずさんの口の周りに残ったアイスクリームをなめるようにキスをした。

「おいしいね」
 突然の行為に、しかも周りに人がいて、見てるのになんて大胆なことをするの!?

「カイト、なにするのよ!汚いでしょ?」
「汚くないよ、ここにも残ってる」

 そういって顎の下のくりーむをぺろんとなめて、ニッといたずらっ子のように笑う。

「僕たちの関係ってどんな関係?」

「恋人でしょ・・・?でも周りからみたら・・・」

 こつんと、カイトは私のおでこにおでこをくっつける。
 微妙に勢いがついていたから痛い。
 
「まわりなんて、関係ないよ。すずさんはすずさんだ。僕の大好きのすずさん」

 とっても恥ずかしいけれど、うれしい言葉をカイトは恥ずかしげもなく優しく言ってくれる。
 きっと、カイトは周りなんか見ていない・・・

 ううん・・・

 恋人同士なら周りなんか関係ないのかもしれない。
 私が自意識過剰になりすぎていたのかもしれない。
 そんな不安をカイトは和らげてくれる

「私も・・・カイトが好きよ」

 周りが見えなくなった私はカイトにキスをしようとする
すると、夕日が隠れた水平線に七色に輝く水上噴水パレードが始まった。

 そのイベントをみるための人たちは噴水に夢中になっているから、きっと私たちに感心はない。
 一瞬そう思ってたら、カイトから唇を寄せて来て、甘いキスを繰り返した。


 家の帰り道、手を繋いで、ゆっくり帰る。
 なんだか、今の雰囲気がとても愛おしい特別な時間に思える。
 コスプレしてるのも特別の魔法って伊達じゃない。

「カイトって、頼れるお兄さんみたいね。」
「立場逆転?」
「ううん、意外なカイトが見れたなって思って、デート楽しかった?」
「うん!遊園地て僕の想像以上の通りの楽しい場所だったね」
 屈託なく、まるで、四、五歳の男の子のような笑顔だ。
 だけど・・・引っかかる言葉だった。

「もしかして、遊園地とか来るの初めてだったの?」

 ふとそんな疑問を何も考えないで聞いてしまった。
「うん・・・遊園地って初めてだったんだ」

「え?ほんとに?」

「おぼえてないだけかもしれないけど・・・」

 カイトの瞳が悲しげな雰囲気が漂った。

「僕、小さい頃から、親戚に預けられていたでしょ?
 迷惑かけないように一緒に遊園地とか遊びに行ったりしなかったんだ・・・」

「カイト・・・・・・」

 その事を聞いて胸が締め付けられる。
 まだ十代なのにすっごく苦労してるんだとても寂しい思いをしていたと言うことを改めて知ると、涙があふれてきた。

「すずさん?涙が・・・」
「だって・・・カイトが可哀想・・・」

「昔の事だし、今は初めて遊園地に来れたのがすずさんでうれしいんだ」

 それは、心からそう思う。

 すずさんと初めての遊園地で良かった。

「ねえ、カイトまた来週遊園地デートしよう」
「また、コスプレしなくちゃね」
「そ、そうね・・・」
 すずさんは苦笑いをして頷いた。
 
 でも、もうコスプレなんかしなくてもいい。
 ちょっとお互いにおしゃれしてデートできればいい。
 二人だけの世界って思っていても、やっぱり恋人だと見せつけたいってのはまだまだ、僕が子供だからだろうか・・・・・・

 それはとにかく、すずさんとデートができる楽しみができたことは良い事だ。

 時間はもう夜十時過ぎ、どこかでご飯食べていこうかということになって、駅前をうろうろしていると、歩道員のおまわりさんが私たちを呼び止める。

「君たち未成年だろう、こんなところうろうろしないでさっさと家に帰りなさい!」
「は、はーい」

 そういわれて、仕方なくコンビニのお店のお弁当をかってかえるけれど、すずさんはにこにこ顔だったことはいうまでもない。

「おまえ等の初デート写真ばっちりとってやってプリントしておいたぜぇー!」

 ヒカルさんはそういうと、どばーと袋いっぱいの写真を机の上に広げた。

「でも、なんかほとんどブレてる写真だね 」
「おまえらが、絶叫系しか乗らないからいいショットがとれなかったんだよ!」
「だったら、省けばよかったのに・・・幽霊写真みたい」

 確かに、遊園地といったら絶叫マシーンという定義をつけられた感じだった。
 次はもっと、ゆっくりとした乗り物ものってみたい。
 観覧車とかメリーゴーランドとかボートとか
と次のデートのプランを僕は密かに思い描く。

「で、こんなかで、一番いいショットがあるんだ」

 ヒカルさんはふふふと言う感じで後ろに隠していた写真をどーんと僕とすずさんの前に出した。
 それは、七色の噴水でキスをしている写真。
 でも逆光で陰にしか見えない。
「な、なんでそんな所まで撮ってるの!?」
「恥ずかしがる事ないだろう?陰っぽくっておまえ等だってわからないし」
「いい感じだよね。初々しい恋人同士のデートっぽくって」

慎一郎さんもうんうんと考え深くうなずく。

「記念写真だからとっておけ。ついでにこれ写真コンクールにも出しておいたからな」
「それほど評価されるものかしら?」
「おまえたち二人の世界はもしかしたら世界に見せびらかすことになるかもしれないけど、いい記念だからいいよな」
 なんとも正直で確信犯的な言い訳に僕とすずさんはなにもいえなかった。
 悪気がないんだからしょうがない。
 今回のデートはこの二人の計画でうまくいったようなものなんだから。

「あ、そうだ、またチケット貰ったんだよ」
「遊園地のチケットですか?」
 慎一郎さんはニヤリといたずらっ子の顔をして
「伊豆旅行二泊三日のツアー券だよー」
「え・・・それって」
 すずさんの顔がだんだん赤くなっていく恥ずかしさからだろうか。

「段階的のおつきあい第二だーん!新婚旅行ならぬ恋人旅行にいこーなんって!」

「あ。僕お茶だすのわすれてた」
そう言ってその場から少し離れることにした・・・

「ふ、ふたりともーいい加減私たちで遊ぶんじゃないわよーーーーー!」

 その日、慎一郎さんとヒカルさんはすずさんの怒りのサソリ固めにあったことは言うまでもない。


 でも、いつか、ううん
 近いうちその旅行もエスコートしてもらえるとありがたいなと図々しくも心の中で思ったりしたのでした。

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2013/05/23 (Thu)

 慎一郎さんに招待された遊園地は、大人も楽しめるエンターテイメントと人気のアトラクションがたくさんある今一番人気のデートスポットの遊園地だった。

「さすがに込んでるわね・・・・・・」
「テレビに見る以上だね」
 まわりには、家族、友達、カップル、いろんな年齢層が売店や食事所、アトラクションにひしめき合う。

 私はこう言うところが苦手で高校の頃の友達のつき合い以来きたことがなかった。

「ねえ、カイト・・・・・」
 一回りして帰ろうかと言おうとしたけれどカイトの顔をのぞいたらなんだか瞳を輝かせて、なにやら感動しているみたいだった。

「どうしたのカイト?そんなに目を輝かせて」
「だって、こんな楽しい場所ですずさんと遊べるなんて考えてなかったから感動しちゃって・・・」
 カイトの瞳は嬉しすぎてなのか瞳が潤んでいる。

「そんなに感動するほどのこと?」
「うん!ねえ。何乗る?何みる?
 あ、ここのソフトクリームおいしんだって!」

 カイトのはしゃぎっぷりをみてしまうと、すぐに帰ろうとは言えなくなってしまった。

「もう、カイトの好きなところならどこへでも連れてっていいわよ」
 わざとらしくどこへでも連れていってというように腕を仕方なし似差し出す。

 自分でもなんてひねくれた言い方なんだろうと内心反省した。
 
そんな私の手をカイトはぎゅっと握って、手の甲に自分の口元に持って行って

「お姫様のおおせのままに」
とキスをする。
 突然のことで頭が真っ白になるけれど
 周りの女子高生たちがきゃー!と騒ぎだすのと同時に顔が赤くなる。
 そして女子高生や周りの私たちをふとみた人たちがにやにや笑ったりして、
 あの人、悪そうなかっこの割には紳士的!
 なんがギャップ萌えだよね!
 と言う声も聞こえた。

「カ、カイト!」
「えへっ」
 と微笑えまれたら何も言えなかった。
 このいたずらっこがっ!

 慎一郎さんのすずさん対策が候をそうした。

『すずさんは、いや、女性はお姫様扱いに弱い。
今日はお姫様を守る騎士になりきり作戦だよ!』

 まあ、格好はどうであれ、今僕は姫を守る騎士気分でデートをがんばるんだ!
 すずさんのいまの格好はほんとに女子高生みたいでかわいいし、僕は同い年気分もしくは年上な感じ不思議な感じだ。

 それに・・・すずさんと初めて憧れの場所に来られたことも相まって、僕はいつもよりも心浮き立っている。

 ちょうど空いているコーヒーカップの乗り物に最初にのることにした。
 僕のこの格好にひいて他のアトラクションに行く人も数人いた。

「これって、この円盤をぐるぐる回すんだよね?」
「カイト乗ったことないの?」
「うん・・・女の子と乗るのもはじめてだよ」
「お、女の子・・・私のこと?」
「うん、すずさんしかいないじゃない」

 すずさんは顔を赤くする。かわいい。
 ちょうど、コーヒーカップのアトラクションが開始するオルゴールの音が鳴り出すと同時に、すずさんは銀の円盤のテーブルをおもいっきり回し始めた。

「わわっ!」
「カイトも一緒にまわして!」
「う、うん!」

 予想以上の遠心力に体が引っ張られる感じが新鮮でおもしろい。
 すずさんも、その爽快感に笑いながら回す。
 僕もつられて笑いながら楽しく回した。
 穏やかそうなコーヒーカップのアトラクションがとても激しいものと初めて知った。
 そのあと、あまりの目の回りように降りるときに二人してして体を支えあいながら降りたことは言うまでもない。
 そんな、互いの状態になぜだか笑いだしてしまう。

 デートってちょっと変わったスリルがあってすずさんの意外な場面がみれたりして楽しいなぁ
 すずさんもそう思ってくれればいいんだけど。

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2013/05/07 (Tue)

「カイト君。男らしくなったねーこれで、すずさんより年下に見えないよ」

 慎一郎さんは渾身の作品を作り上げたかのように、額の汗を腕で拭く。

「あの・・・年齢とか男らしくなったというよりか、この格好ってデートにふさわしくないような・・・」

 慎一郎さんに、すべて任せてコーデネートしてもらったのはいいけれど、いつもと僕とは全く違った雰囲気できっとすずさんがみたらひどく驚く姿だ。

「どちらかというと、危ない路地裏で喧嘩売る人のような格好なんですけど・・・」

 人畜無害のいつもの自分とは正反対の人畜悪害の不良少年になった。

 唇には、チェーンをつけて、目張りをアイライナーで紫さんに描かれて、きりりと男らしさアップしてる。
 髪型も、ワックスで流れをオールバック風のウェーブがかかっている。
 元々茶っぽい髪が外人風にみえる。
 服装も黒を基調にしているが、所々喧嘩の後のあとのような切れ目があってその切れ目から赤い下地が見える。
ただの赤じゃなくて刺繍でドクロが見え隠れする。
 肩が見える蜘蛛の絵のはいったアンダーに黒の光沢のある小さなベルトが不揃いについて、口元のチェーンと同じシルバーのベルトの金具がさりげなく、バランスをとっている。
 どこかのゲームのコスプレにも見えないことはないが、ある筋のブランドで今はやっているものを買ってきたとのことだ。

「さすがに、俺は着れないけれど、カイト君が似合ってくれてうれしいよ」

 慎一郎さんがこんな格好したら、どこの筋の人だとおもわれるだろう。
 いや、実際はホストクラブのオーナーをしているんだけれど・・・二児の父にはさすがに無理だ。

「この格好で遊園地いっても大丈夫でしょうか・・・?」

「大丈夫、今日はコスプレ大会もあるから誰も気にしないっしょ」
「け、計算ずくだったんですね」

「もちろん。だからすずちゃんも気がねなく楽しめると思うよ」
 にやりと、いたずらっ子の笑顔で慎一郎さんは笑った。

「ちょっと、この服どうなのよ・・・・・・」

 私はヒカルに言われるまま用意してくれた服を着て鏡を見てげんなりした。

「どうって、今はやりのアイドル風の服だよ」
「服は服でも制服でしょ!!これ!」

 更衣室のカーテンを勢いよく押し退けてヒカルの服の襟をつかみあげた。

「よくにあってんじゃーん。童顔でよかったな」
「あんたには言われたくないわよ」

 ヒカルはヘラヘラして悪気はない。
 むしろいたずら成功して喜んでいる。
「わたし二十三なのになんでこんなセーラー服っぽいの着なきゃらないの?」
「そんなこといったら、今をときめくアイドルに失礼だろ。」
「中高生に失礼だわよ!」
「大丈夫だって、ぎりぎり高校生っぽいというか。カイトとお似合いだろ?」
「う・・・そう?」

 改めて無意識に鏡の方をみて自分の姿を確認する。
 最初に髪型をヒカルにアレンジされて脇の髪を三つ編みにして後頭部で合わせて、リボンで縛られているから、なんだか幼いようにも見える。
 それに制服といっても本当の高校せいっぽいものではない派手な制服。
 改めて観察すると高校生にもみられなくないかなと思う。

「にやけてるぞ。まあ俺の手に掛かればこんな感じかな?」
「ほんとにカイトにつり合うかな・・・・・・」

 カイトの姉にみられないかな・・・
 ヒカルの存在も忘れて、スカートの裾を引っ張ってポーズをきめてみたりしていたら

「わーすずさんかわいいー・・・」

 鏡に映る私の背後に柄の悪い男が現れて、反射的に振り返ってその男の体を床にくみ伏せた。

「いててて!放して!すずさん!」
「ってカイト!?」

 驚いた・・・
 あのボサっとした少年がちょっと服装が替わっただけで、雰囲気がかわるなんて・・・・・・

 カイトは背が最近伸びて私の背を越したから、なんか見下ろされている感じが異性を感じさることがある。

「どうかな。僕の格好。かっこいい?」
「うん。不良ね。」
「だよね・・・」
「うん。」

 多分、大人の雰囲気には限界があるんだろうけれど、その格好デートって微妙だと私は思う。

 似合わなくない。でも、確実に・・・
 釣り合いバランスがある意味違う!
 
 てっきり学生同士の初々しいデートを演出してくれるん だろうとは想像していたが、二人の企みは斜め上を行っていた。
 完璧二人に遊ばれた感じだなと思う・・・
 初デートの楽しみより不安の方がある意味増した。

 慎一郎さんは僕たちを並べて微笑む。

「なんかある意味ギャップのある恋人だよね」
「年齢以前の問題になってよかったな」

 自分たちがそうセレクトして実際の僕たちをみると感慨深いものがあるのか、芸術を完成させた画家のようだ。

「こ、これで、デートいけるかなぁ」

 僕は心配になるすずさんの顔が少し険しい。
 きっと、この二人に頼んだのが間違えだったと思っているに違いない。

「いけるいける!そのままホテルまでいっち・・・」

 すずさんではなく、紫さんがヒカルさんの下品な口をふさぐ。

「すずちゃんなんだか高校生の時のすずちゃんを思い出すよ。懐かしいね。」

 そういわれて見つめられて、すずさんはなぜだか照れる、仏頂面だったのがなんだか、乙女のように頬を赤らめ照れる。

「あのころすずちゃん恋一切してなかったよね」
「え・・・う。うん」

 すずさんは戸惑う。
 ヒカルさんの情報からだと、すずさんは慎一郎さんに初 恋していたとか言っていたような。
 もしかして、そのときの気持ちを思いだしちゃったとか・・・・・・
 慎一郎さんはすずさんの頭をそっと撫でて

「学生気分に戻って、恋を楽しんでおいで・・・ね?

「うん・・・そうします・・・」

 素直にすずさんはうなづいた。
 優しい仕草と声で、すずさんを優しく見つめ、すずさんも高校生くらいの気持ちに戻っているのだろうか、慎一郎さんを見つめる目があやしい・・・・・・

「おい、カイトおまえ、様になってるぞ・・・」
「え・・・」
 ヒカルさんに言われて我に返る。
 いつの間にか二人のやりとりに嫉妬のオーラを出していたらしい。
 しかも、こんな格好だから「様」になっているという事だ。

「すずは、大人の雰囲気に弱いところがあるから、年上気分でエスコートしてやれよ。」

 ヒカルさんはフザケることが多いけれど、悪い人じゃない僕たちのことを見守って助けてくれる。慎一郎さんも
そうだ。
 二人のサポートを無駄にしないためにも、今日はすずさんと楽しい初デートをがんばろう!

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2013/04/12 (Fri)

いつも通っているホストバー&おかまバーの「アンティーク」のブラックのガラス扉が魔王の扉に思えて、私はゴクリとつばを飲み込む。
中にいるのはたぶん、慎一郎さんとヒカルだけだろう。
いるとしても、店の管理を任されているまっちょ店員の紫か・・・
「すずさん、そんなに緊張しなくても大丈夫だよ、おめかしさせてくれるだけなんだから」
「そ、それはそうだけど・・・私の直感が悪意を感じるのよね」
 重々しく私はそう断言する。
 そんな私とは正反対に、カイトは一週間前からわくわくドキドキといった小学生が遠足にいくのを楽しみにしているようだ。
 まあ、デートじゃ遠足と変わらないけれど、私たちの年の差は六歳。
 私だって浮かれたいけれど、世間に認められるまで最低二年ある。
 カイトが老け顔だったらまだしも、女装させたらそこらの女の子よりかわいい美少年・・・・・・そうよ!

「ここに呼び出したって事は、きっとカイトを女装させて、女の子同士のデートを演出してくれるって事ね!それなら姉弟以前の問題だからOKね!」
 女の子同士のデートなら恥ずかしくもない!

 そんな私の肩を掴んで止めさせる。

「ちょっとまって、僕はそんなのはNOだよ!せっかくのデートが女の子同士ってほうがおかしいって!」
 今度はいっぺんカイトが青い顔してドアノブに手をかけた私の手を止めた。

「女装したカイトかわいいから大丈夫よ!」
「いやはや、そういう問題じゃないよ」
「私とデートしたくないっての?」
「ふつうの格好でデートしたい」
「じゃあ、おめかし必要無いじゃない」
「デートはおめかしは必要だよ!」

 ドアの前で口論になっていたら突然ドアが引かれてカイトと一緒に入り口で転びそうになってとっさに受け身を取りカイトの二の腕の部分に手を支える感じになり私に多い被さる形で倒れた。

「カイト大丈夫?」
「すずさんごめん!」

 カイトが地に腕を着いて、私に倒れ込むのを防いでいた。
「おまえ等、こんな所で、みせつけてんじゃねーよ。遊園地よりラブホに行くか?」
「・・・紫、お願い!」
 紫は私の命令を忠実に無言でヒカルの下品の言葉を放つ喉を絞めあげてくれた。
 ヒカルは締めあげる紫の腕を三回叩いて、ギブアップをアピールし、閉め上げをやめさせた。

「いらっしゃい、待ってたよ。すずちゃん。カイト君」
 クスクス笑いながら慎一郎さんがソファーのイスから腰を上げて私たちに手をさしのべ起こしてくれた。

「あ。ありがとう、慎一郎さん。」
「今日はよろしくお願いします!」

 カイトは起こしてくれた手をさらに強くにぎり懇願するようにお願いした。
 私がデートを嫌がってると思っているらしい。
 だから、私が嫌がらない何か良い策を持っているだろう慎一郎さんに必死にすがるのだ。
 でなきゃ、初デートに他人に助けを求めるようなことなどしないだろう。
 カイトはいつも慎一郎さんに頼る癖がある。
 その癖を利用して慎一郎さんたちは私たちをおもちゃのように弄んでるんじゃないだろうかとさえ私は思うんだけど・・・
 けれど、それは素直じゃない私にとってカイトに甘えられるチャンスを与えてくれている・・・

「すず、そんなに深刻に深刻に考えることか?
人生は楽しむためにあるんだから、年の差とか世間体とか深く考えるなよ。な」
 ヒカルは少し心配してくれたのか、ぽんぽんと背中をたたいて私の気分をなだめようとしてくれた。

「うん・・・よろしくね」

 そんなヒカルに私は笑顔を向けて安心したことをみせた。

「よし、カイトをあっと言わせるお洒落をしてデートを楽しませてやるよ」

 ヒカルは私にニヤリと艶のある笑みを向けて、しなやかな指がいたずらっぽい唇を隠した。

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2013/04/11 (Thu)
「ほんとに、デートしたことないの?」
 
 慎一郎さんは僕の隣に座ると双子たちは慎一郎さんの膝の上に乗って、僕のほうをみる。
 
「かいとっておくれてるー」
「ようちえんせいでもでーとするのに」
「そ、そうだね。藍ちゃんと蓮くんにさきこされちゃったね」
と苦笑いしながら答える。
「もっと遅れてるのは、すずだけどな」
「うるさい、いいじゃない!常に一緒にいるんだしデートなんかしなくったって」
 とすずさんは断言した。
 
「カイトと暮らしてることが一番楽しんだから・・・」
 自分でいっていてすずさんは恥ずかしくなったらしく、顔が赤い。
 
「デートは別物だよ。いろんな発見あるし、違うところに行ってお洒落して以外な自分を見せられて楽しいんじゃあない?」
「一緒に暮らしてるんだからお洒落しても家でばればれよ? それに・・・」
 すずさんは、うつむくと顔が暗くなる。
「どうせ姉弟にしか思われないし・・・」
「ま、まだ、あの時の事を気にしてたの?すずさん」
「あの時のこと?」
 すずさんは、みんなの疑問の瞳を向けられてさらに顔をうつむく。
 すずさんと両思いになれた次の日、クリスマスケーキの用意を買いにデパートに行こうと、すずさんから誘われた。
 すずさんはちょっと張り切ってか、いつもよりはお洒落していたと思う。
 だけど、デパートの店員に仲のいい姉弟でうらやましいですね。
 みたいなこと言われた。
 すずさんは家に帰ってから「しっつれいしちゃうわ!こんなに似てない姉弟なんてどこにいるってのよ!」
 
 いや、結構いるから・・・と、心の中でつっこんだものだった。
 
 その後も、スーパーに行っても姉弟でお買い物と思われてしまった。
 
「まあ、今はそれはそれで都合はいいけどね」
 と割り切っていたけれど、かなりショックだったのだ。
「ちょっとしたコンプレックスかーすずってナイーブだな」
「すずちゃんてかわいいね」
 ニコニコしながら慎一郎さんは言った。
「カイトより子供っぽいなー」
 ヒカルはあきれた感じだった。
 そんな性格だからなかなか結ばれられないんじゃねー・・・とぼそりとつぶやいた。
 
「だから、デートとかってまだしなくていいと思うもん、カイトが大人になってからで・・・」
 子供のように頬を膨らませてぷいっとそっぽを向く
 
「何言ってるんだよ、そんなコンプレックス感じさせなければいいだけだろう?ね、慎一郎さん」
 ヒカルさんは慎一郎さんに目配せをすると、そうだねとうなずく。
「遊園地の券たくさんあるから、来週行ってくればいいよ。そのかわり、バーに集合な。」
「なんで、バーなの?」
「すずのコンプレックスをなくしてやるためだよ」
 慎一郎さんとヒカルさんはニヤリといたずらな笑みをして僕たちをみた。
 
 何か絶対、企んでいるけれど、デートを演出してくれるんだったら、いたずらでもなんでもいいやと思った。

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2013/02/28 (Thu)

「おまえら、デートしたことないの!?」

 慎一郎さんの家でヒカルさんは驚きの声を上げた。
 ヒカルさんは昼はなるべく藍ちゃんに会いに週に一回は遊びに来る日にちょうど、すずさんと僕、カイトが遊びに行った日が重なった。
 慎一郎さんの大きなマンションのリビングの床で藍ちゃんと蓮くんはおもちゃを散らかしながら楽しんでいたときにそんな会話になった。

「でーとしたことないの?」

「したことないの?ぼくはしたことあるよー」
「えーだれとー?」
「あいちゃんの友達のきららちゃーん」
「えーきららとつきあってんのー」
「うん。きすもしてるよー」
 双子たちはませた会話をして盛り上がっている。
「藍ちゃんは僕と結婚するから、誰ともでーとしちゃだめだからね!」
 その会話にまざったヒカルさんは目が真剣だった。

「勝手なことをいってんじゃない!変態おかまやろうに大切なむすめをやれるか!」
 ラフな格好をした慎一郎さんがヒカルさんの頭を軽くはたく。
「そうよね、年齢さありすぎ」
「すずにいわれたくねーよ」
「うっ・・・あんたよりマシよっ!」

「デートというベタな肯定を忘れてヤっちまってる人にいわれたくないですー・・・ぐはっ!」
 すずさんの空手三段のチョップがヒカルさんを黙らせた。

「やってないっていってるでしょ!分別付けておつきあいしてるの!私たちは!」

 腕を組んでフンと鼻を鳴らしてそっぽを向く仕草を双子たちは面白がってまねする。

「デートか・・・・・・一緒にいすぎてそういうことを恋人するイベントをすっかり忘れてた」
 ヒカルさんとすずさんのバトルをみながら、そう無意識に言葉に出ていた。
 そして、想像する。

 デートそれは遊園地や動物園で楽しむこと、そして最後にはキスして・・・
 もうちょっと大人だったら

『今日とまってく・・・?』
『うん・・・』

 そしてさらに愛が燃え上がっちゃったり・・・とか、思うものの、僕はすずさんと同居中だ。
 常に一緒にいるようなものだから、デートなんて思いもつかなかったんだ。

続く…






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2013/01/25 (Fri)
きらきら朝日
冷たい土や空気、水を輝かせる…
冬の朝

冬の夜
お月さまが明るく世闇を照らして
星は小さく輝く宝石

世界は輝きで満たされている

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2012/11/09 (Fri)
 天才医師北条鷹彦先生と、助手の桂は暗い山道を徒歩で往診帰り中だった。
 辺りは真っ暗な森の中、照らし出すのは満月と北条先生が持っている懐中電灯のみ。

「センセ~村に一泊してからでも良かったんじゃないですか~」

 先生は村に止ることなく次なる患者(まだ予定は入っていないけれど)のため村をおりる決意をした。
山奥の患者の往診に来た時、運悪く車が故障した。

一時間も下れば町に着く。
 運動ついでに徒歩に決めたのだけれど帰りがこんなに暗くなってからだなんて……

 桂は先生と逸れないように先生の左腕に手を回しギュッと離さないように抱きついている。

 大好きな先生に遠慮なく抱きつけることは嬉しいが、辺りの怖さと例の噂で桂の心臓は恐怖でドキドキだった。

「村の人達いってましたよ!ここよく、で、出るってて…」
「妖怪百目が出るってヤツか?」

 真面目で現実的なことしか信じなそうない、いかにも私は優秀な医者ですって絵に描いたようなそして美形な先生は四角いレンズメガネをちょっとあげて桂を軽視した。
 そんな噂は全く信じていないようだ。

「そんな妖怪怖がってたら、外科医なんてやってない!
「それに、妖怪何ぞこの世に存在するわけがないだろう?桂君は信じているのか?」
「だって百目って!目玉が体中に百個ついてるんですよ!むき出しのヤツが!
先生は悪魔くん観たことないの!?」




「それに、妖怪何ぞこの世に存在するわけがないだろう?桂君は信じているのか?」
「だって百目って!目玉が体中に百個ついてるんですよ!むき出しのヤツが!

 先生は悪魔くん観たことないの!?」

 私は以前白黒の実写悪魔くんを思い出して怖かったのだ。

 その百目とは緑色の巨大の物体に手と足が生えていてその他はしわしわの体つきにそのしわから目がびっしりと詰まっている妖怪だ。

「実写?なんだそれは?たしか、悪魔くんはアニメだろ?可愛いキャラ 
クターだったよな。小学校の時好きだったぞ」
 先生の百目の想像はビーグル犬のような三頭身ぐらいのキャラクタにかわいらしく目玉が百個位ついているキャラクターだった。
「そんなのは、人間の想像上の生き物で実際には存在しない。怖がるだ 
け損だぞ。」

 そういい、ゲッゲッゲ○ゲ○~と歌い出した。


 先生それは、鬼○郎です……とひそかに桂は突っ込みを入れた。
 先生とそんなちょっとオタクな話をしていて怖さが和らいだ。
 それに、先生の言葉の雰囲気には説得力があって妖怪なんていないって 
おもえて、

「そ、そうですよね、妖怪なんてこの世にいるわけないですよね……」
「だろ?妖怪何ぞよりこわいのは……ん?」

 ガザッと音がして桂は先生の腕にぎゃっとさらに抱きつく。
「何か変なものが動いたぞ?」

「ええぇ!!?やめてくださいよぉう!!」
 先生は狐か狸か?それとも熊か?野生なんかめったにみられないぞと
とにかくガサッと音がしたほうにライトを向けて

「この辺か?」

 ビクッと草やぶが動いた。

 そして、ライトに照らしだれたのは……!?

「!」
「!!?」

 私たちは息を飲んで体を恐怖のあまり一歩引いた。
 泥のようないや、ドラゴンク○エストにでてくる、バ○ルスラ○厶のような物体に目玉がびっしり埋まっていてその一つのしわから赤い大きな舌が出ていた。
 あれは、紛れもなく
妖怪百目!!

「ぎやぁああああ!!!」

 叫びと同時に百目はサッとヤブの中へ逃げ込んでしまったけれど、
 桂はムンクの叫びよろしく悲鳴をあげまさにムンクの世界、世にも奇妙な世界に紛れ込んでしまったのだ!

「せんせい!ねええ!せんせっ!!先生も見たでしょあれがまさに百目です!」

 そして興奮と恐怖のあまり先生の白衣をひっぺがす勢いでとにかく、 
 引っ張って泣いて興奮することしかできなかった。
「妖怪は存在するじゃないですか!!どうしてくれるんですか!!

ええ!?先生!!」
 桂は泣叫ぶだけ泣叫んだら落ち着いてきた。
 そして、白衣が皺だらけになっても微動だにせず、おどろいた時の位置から動かない先生に気がついた。

「せんせ?…ってやっぱり、先生も怖かったんじゃないですか!」

 さっきの恐怖より先生が恐怖のあまり固まってるほうが面白くなって先生の背中をヤ~だッパンと叩いてくすくす笑う。

「ふ…フフフ」

 先生は恐怖のあまり不気味な声を出した。

「使えるな……あの妖怪」
 だがその不気味な声は恐怖からではなかった。
 この笑みはこの笑い声は以前きいたことがあった。

「せっせんせい?」

 私はやな予感がした。

 先生はメガネを光らせて、
「あれを捕まえれば失明した患者を救えるではないか!!」
「妖怪をドナーにする気ですか!!?めちゃくちゃなー!!」
 先生は興奮するようにフハハハハハハハハハハハハと高笑いをしはじめた。

「さ!百目狩りに出発だ!」

 さっきまでの真面目で現実的で美形な医者というよりか、幻のツチノコを追いかけるハンターといいう感じだ。
 もう現実を見ていない、ドリーマーと化している。

「でも先生!百目って!人の目玉を食べる妖怪で危険ですよ!!」




「なにぃ!?」

ライトを桂の方に向けてさけぶ。

「あの可愛い百目が(アニメ版イメージ)人を襲う悪い妖怪だなんて!?」

 先生は変な方向に興奮しすぎている。

「せんせー…じつはすっごくオタクでしょう?よくある懐かしアニメとか
の」

「お前もな、白黒実写なんか観る時代に生まれていたのか?
 実写なんて、俺の母と同じ年代がそれ以上だぞ」

 桂はギクリと
「さぁ…」

とだけ答えて受け流した。
 先生はメガネの左右をつないでるブリッチをクイッと持ち上げて、桂を見た。

「それはさておき桂君」

 切れ長の鋭くてカッコいい瞳で私を見つめるけれどそれは大抵、イヤな 
予感を臭わせる。

「君しか出来ないことがあるんだ…」

 その目は鈍く不気味に光るメガネに隠されるそれが、決定的に成る証拠。
 だから逃げようとしたけれどガシッとしっかり桂の肩を掴んだ。



「つかまえた 」
「つかまえた じゃないですよ!遠慮しておきます!ってか痛い!痛いから離して!
いやあああ!」

 急所を狙って肩を掴んで強く抵抗できない。
 それでも抵抗して逃げようとする桂を先生はぐいっと引き寄せた。


 そしてその勢いのまま先生の腕の中に私はいて、先生は優しく私を抱き寄せ耳元で囁くのだ。

「桂君…お願いだ…君しかいないんだ…」
 さっきの不気味な声と一変した、懇願するような声はとても優しくてとても好きだ。
 しかもこんな状況じゃ尚更ドキドキしちゃう…

「あの妖怪を捕まえれば患者の幸せな笑顔がきっと見られるんだ…それは、君の協力がどうしても必要なことなんだ…手伝ってくれ頼む…」
 その声は切なげでキュンと胸が鳴った。

 先生は苦しんでる患者をほっておけない優しい人。
 
 患者に優しい先生一生懸命の先生は好きだけど、でも……

「先生の言う通りにするって事はおとりになれって事…じゃないよね?」

「分かっているなら話は早い!」

つづく~たぶん

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2012/11/09 (Fri)
私と彼氏は教室の一番後ろの席で川を挟んだとなりの席同士。

けれど、今私たちはケンカ中、この一週間口もきかなければ、顔も合わさない。

こんな一週間となりの席で近くなのは気まずい雰囲気がとても居心地が悪い…


数日前は幸せでいっぱいだったのに…


私がこんないらついた悶々として苛々しているのに彼は無表情で授業を受けている。

喧嘩の原因は彼だ。

私は悪くない。
私は彼が好きだった。
彼も私を好きでいてくれて当然なのに……
彼はそうじゃなかったのかと思うと悶々とした気分より、悲しさがまして、涙が出てきた。

そんな顔を誰にもとくに、彼に見られたくなくて机に突っ伏しって顔を隠したら、肘に消しゴムが当たった。

その消しゴムは席の後ろに落ちた。

 席を立ち早く消しゴムをとろうとしたら、彼も気づいたみたいで、消しゴムをとる手が触れた。

その時に指が触れあった。

久々に彼の温かさに触れた…

「あ…ありがとう…」
 小さな声で礼を言った。

「礼を言われることじゃないから…」

 彼も私と同じくらいの音量で返した
あの時と同じだ…

入学当時を思い出した。

入学してしばらく友達もいなくて事業中に消しゴムを落としたのを彼が拾ってくれた。
「あ、ありがとう…」
 彼はにっと笑って
「礼を言われることじゃないから」


少しぶっきらぼうに返事をし消しゴムを渡してくれた。
彼がクラスで初めての話し相手になった。
照れ屋さんであまり口かづは少ないけれど、優しい彼。

それから、仲よくなって、カップルになれたのに……



ケンカの理由は、
浮かれてノートに、
とーっても彼氏がやさしくて、すてき!みたいなことをノートに落書きで描いていたのを友達に見られて、ちゃかされて、
恥ずかしくなった彼はむきになって

「そんなはずかしいことかくな!」

と怒鳴ってムキになって私の気持ちを綴ったその落書きを消した。

とてもショックで
頭にきて
心が痛かった。


恥ずかしいのは分かるけど怒鳴らなくてもいいのに…

消さなくてもいいじゃないっ!

私の気持ちを否定されたと思った。

そのことを思い出せば、目ををそらして無視して早く席に着こうとするが、 
それよりも早く彼は、私の顔に触れてキスをした。

えっ!?

「ごめん、むきになって、消すことじゃなかった…」


小声で私に囁いた彼は、顔を真っ赤にして謝った。

「オレお前のこと好きだよ」
さらに顔を赤くして囁いた。

「わたしも好きこの気持ちは消えないからね」



落ちた消しゴムは
恋をさせてくれた。
その消しゴムで喧嘩もしたけれど

わだかまりを消してくれて
ファーストキスでさらに彼が好きになった。

私達を恋させる奇跡の消しゴム。


「おい、そこ!受業中何してるか!」

先生に怒られ、
クラス中でわらわれたけれど、私達はしあわせだった。


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2012/11/09 (Fri)
空は青く新入生を優しく迎えるあたたかな風に桜の花びらが舞う。

 けれど、不穏な空気場所というものは存在する。

校舎の裏、日当たりの悪い影の中に新入生の河合誠は柄の悪い上級生に囲まれて逃げ道をうしなっていた。

 柄の悪そうな上級生の中のリーダーらしき生徒は、誠の華奢でかわいらしい顔をじろじろと牽制するように嫌らしく見つめ睨む。

 その顔は誠とは正反対にニキビずらでゴツゴツとした不細工である。


「僕になんのようなんですか…?
用がないならかえしてください!入学式におくれちゃう!」
怯えもせず、気丈に怒りを込めて言う。


「入学式だ~そんなもん、ださせるわけねーだろう?」

「おれ達に突っかかってきた癖に…
逃げられるとでもおもってるのかよ!」


「偶然ぶつかったというよりそっちからつっかかってきたんじゃないか!」

「そういう口のききかたもきにくわねぇ~なあ…」


尚更まじかに顔を近付け眼つける。
 襟元に手をかけて睨み付けられた。


「お前が可愛いから入学式を俺たちがかわりにやってやるよ!!」

 そういうとシャツを無理矢理引き裂いた!

「く!!」

 はずかしそうに誠は顔を背けた。

 誠の胸元から腹にかけてしなやかな真ったらな素肌があらわになる。

ちいさな傷やむさ苦しさなどまったくなく
 綺麗だ。

 綺麗だけではなく顔を背けた首筋から胸のはだけかたまでもが美しく色っぽく感じる。
 中性的でなめまかしい…

 
「ふーん…もしかしたら男装した女だと思ってたが…ほんとに男だったとは…」
 そういうが、彼等の顔は頬は赤くなってる。

 誠も自分でも気付いているが、男女問わず色気を感じさせていまう雰囲気を持っている。
 
 野生むき出しな、不良どもはすでに欲情している。

「こいつそこらの女よりなんか……
上玉だな…」

 この男はそういうけもあったのだろうか?
 それとも今そう言うことを思ったのか、唾をのみこむ。

「え…こいつおとこだろ?」

「でもなぁ…」
という声が聞こえてくる。


 逃げたくても腕を壁に押さえ付けられ、首筋をリーダーになめられる。

「だれかっ!
たすけて!いやだ!!」

 今さらになって恐怖心がでてくる。

 高校にあがったばかりで、とたんにこんな
めに会うなんてさすがに思っていなかった。

 しかも男子高ならそう言う事が有るとか無いとか、聞いたことあったけどここは共学だ。

(ああ!
僕の青春が!!
しょっぱなから汚されてしまうなんてっ!
短すぎたな…
僕の16歳の春…)

 絶望に突き落とされそうな時


「てめぇら!!
よってたかった何してやがる!」

 誠に気付きダッシュで駆けつけ人間業じゃない程の跳躍でリーダーの頭を足蹴りして着地した。

 リーダーは校舎に顔面を強く打ち付ちつけられ、
しばらくそのまま脳しんとう起こしていたが、キッと振り向き、
足げにした奴を睨むが気絶している間に仲間をのしていた。

 足蹴にした相手は自分の天敵の

「っ…近藤将美……くそ!おぼえてろよ!」

将美の姿をみると一目散に逃げていく。

奴らが去っていくまで舌をだしていたが、誠に振り向く。

「大丈夫だったか?新入生」

「あ、ありがとうございます!助かりました…」
 誠より頭一つ半高い彼を見上げて礼をいう。

 将美も誠をジッとみつめている。
  しかも無表情というか眉をしかめている。
 なにか悪いことをしたかな?と不安に思うのと同時に将美はシャツを脱ぎはじめた。

 えっ!?
この人も僕の色気に!?そんなっ…!

と思い焦った誠の頭から彼のシャツがふってきた。

「わ!なに?」

「もうすぐ入学式だろ?
 そんなカッコじゃ式に出られないから貸してやる」

「あ、ありがとうございます!でもあなたは……」

 将美は中に体育着をきていた。

「ああ、俺らはもう始業式おわったからいいんだ。気にするな」
将美は優しく微笑み安心させてくれた。

「おい!将美。
帰ろうぜー!」
「ああ!」

 友だちに返事をし、将美は誠の頭をポンポンと叩き、風のように爽やかな笑顔を残し去っていった。

 誠は将美の去っていく姿を桜吹雪が舞う中ずっと見送り見つめていた。


そして……

「僕…あの人だったら僕の大切なモノあげてもいい……」

 桜舞い散る春の日に恋が目覚めた瞬間だった…

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2012/11/09 (Fri)
愛姫は俺のことをどう思ってる?

政略結婚…親に決められて夫婦になった…

恋や愛や分からない内から夫婦に決められた…

あまつさえ愛姫…お前は人質という身分だ…

お前の命がかかっている…

なのに、安心しておれの腕の中で眠る愛姫。

まだ幼さの残る妻をそう思いながら覗き込む。

今日は初めて床を一つにし、すべてをさらして触れあった。

もう3年もそばにいたのに…こんなに触れあったのは初めてだ。

楽しいことも苦しいこともともに感じて来れた…
とても愛おしくて守りたい存在だ…

だけど、ただそれだけの関係じゃない…

純粋な夫婦、裏も表もないとうわけではない…家に縛られている。

おれといて窮屈ではないか…?

本当におれのことを愛しいか?

本当は故郷に帰りたいのか?そう疑問が浮かんだ…
そっと細い首に手を触れる…このまま力をいれたらお前は死んでしまう 
だろう…
簡単に…
この手で手折っておれだけのものに本当におれだけのにしてしまいたい…
狂気に似た愛しさを抱く。
このまま死んで…おれも死に、今生ではなく…

来世で純粋な関係を築きたいと思う。


それはとても愛おしいから…ただただ…しがらみのない愛が欲しい…

「政宗…さま?」

あわてて手を引っ込める。
「なんだ?」

ふふっと微笑んだ愛姫を見つめる。

「私は田村家に生まれて…姫でよかった…」
「は…?」

分けがわからなくて眉をひそめる。
「だって…そうじゃなきゃ…あなたと夫婦になれなかったから…出会うことすらなかった…だから…よかった」

どうやら愛姫は俺とは逆の考えのようだ…

俺が抱いている不安をきっと愛姫も抱いていると思ったのに…

ふっ…

と俺は自分を嘲るように笑った。

深刻に考えるだけ損だ…
愛姫が幸せならいい。
おれの不安はその言葉で消え、愛姫が愛おしくて、抱きしめて、唇をかさねた…

このさきおれは愛姫以外の女をモノにしようとも…
愛姫ほど特別な関係だとは思えない…



どんな女と巡り会おうと…




だから、愛姫以外の妻を動物や魚の名前で呼んでいる。

ただ愛おしいのは
愛姫だけだから…

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2012/11/09 (Fri)

私はしゃべっていた。しゃべる人形になった。
けれど、昔はいっさいしゃべらない
ただ、キレイなはやりモノの服を着て皆の憧れを浴び続ける人形。
それでいい。
それでいいはずだったのに。
私に話しかけてくれる人がいた。
それは、私の服を着せてくれるディスプレイの人。
いつもいつもご苦労様、キレイだよ。っていってくれる。
満足げな表情で私を見上げてくれる。
それがとてもうれしかった。
ありがとうっていいたかった。
けれど、私はしゃべれない。声を持たない。だから言えない。
でも私はいつもいつもその人に感謝してる。
私が存在していることを誇らしげにしてくれるから。
けれど私はばらばらに壊されてしまった。
新しいマネキンが来たから。
私はもう不要になったのだ。
新しい人形が私の代わりになってあの人の表情を独り占めする。
消えてしまいたい。すべて。こんなみじめな自分はいやだ。
ずっと心の中でしゃべっていたつもりだった。
けれど、魂の宿ったらしい私はマネキンだらけの人形の不気味な部屋で
私は口を動かして怨み辛みを口から吐き出す。
そのことが人々に伝わり私は奇異の目で見られる。
見られている。
それが気持ち良い。
私はしゃべれないマネキンではなくなり、人の目に付くようになった。
マネキンとしては本望な存在感…あなたもぜひ私をみて、その目で私を 
見つめて…
それが私の存在意義だから…

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2012/11/09 (Fri)
一度
大切な記憶を私は落としてしまった。

私の記憶と
行動の指針に大切なもの

奇跡的に戻ってきた記憶は相手から勝手に入ってくるようになった

それに対して取りあえず適当に応対してみた


おおっ
久しぶり
元気にしてたか?


誰だろう?



俺だよ
忘れてしまったのか?

マジで!

同じクラスだったじゃないか!

まぁ
それだけだったけどな


なぁ
金貸してくんねぇ

今やばいんだ




何だよケチっ!





勝手に話しかけてきて勝手に去っていった。


そんな人物の記憶なんていらない。




たすけてくださいっ!

いま知らない誰かに拉致されて

あなたでも良いです
お金だしてくださいそしてたすけてください






そのご

この人がどうなったか知らない。


ある日手紙が来た


あなたはハワイ旅行が当たりました

おめでとうごさいます

こちらへ

お返事ください








いらないし…

知らない人から甘い誘いに乗る私じゃない




あなた

一体どこにいるの

連絡くらいしなさいよね

親に心配させるんじゃないわよ


親…

本当に?

信じられなくて

出なかった。


記憶は

思い出は

情報だ

私は直接人と接したくない

特に使うのはネットメールのみ

人との関わりは持たない

携帯が
私の記憶
個人の情報

その携帯を落とした

きっとすべて情報を取られた…


これからすべて
一からやり直し

親の携帯電話番号くらい登録はするか…

おわり

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2012/11/09 (Fri)
観光バスがパーキングを出てすぐ高速道路でバスジャックにあった。

バスジャックは青白い顔とひょろっとした体格の男だ。
目がもうヤバい感じにいっちゃっている。
手に、刃の長い包丁を持っている。
男は包丁の刃をぺろりとなめながら、

「この中で最も強いのは俺だぁ~逆らうやつは殺すぞ~」

私はパニック状態だった。
恐怖が感じられて声を発することもできない。

きっと一緒にバスに乗っている人も同じ心境だろう。

だが一人だけ格闘家を目指す弟が隣の窓側でスヤスヤと眠っている。
全く小学生だと思えない程に体格が良い。
この弟、寝てしまうとめったなことでは起きない。

私は何度も体を揺すって起こそうとしたが、揺すられているのが揺り籠のように気持ちが良いのかどんどん深い眠りにおちいっるようすだった。


(あああ~~!バカ!早く起きなさいよ!こんなやつあんたなら一発なんだから!)

と、焦っていた私と対照的に冷静なおじさんが冷静な声で男をなだめに 
かかる。

「君落ち着きなさい…そして。その包丁を……」

「おれに逆らうなといっただろう!」

グサリとおじさんは包丁でさされてしまった。
おじさんはうつ伏せにバタリと倒れて動かず血が床にじわじわ滲み出ている。
本当に刺すとは恐怖がます。
だけど今がスキかも知れない。

彼は本当に刺してしまったことに自分でも驚いているのか?血で濡れた手を見て呆然としているようだった。

そのすきを狙ってエイ!っとその男に抱きつき取り押さえれば…

そのすきを狙ってエイ!っとその男に抱きつき取り押さえれば…

エイっとすぐそばにいた勇気ある男性が取り押さえたが、バスジャックは腰を取り押さえられた腕を包丁で刺した!
ギャッと悲鳴を上げてのたうち回っているその人の腹に包丁をまた突き刺した。男性は少し呻いて動かなくなった。
死んでしまったらしい…第2の犠牲者である。

あわわわわわ!私が考えた作戦もダメぇ~!?
こうなったら、みんなで一斉に取り押さえれば恐くない!

「みんな!一斉に押さえ抱えるのよ!」


わー!
と、みんなでとり押さえる想像をする…
「みんな!みんなでおそいかかるぞ!」

と若い男性がバスジャックに一人で取り押さえにかかる。
だが、
みんな腰が抜けていて席から立つことができず、三人の犠牲者が!

うう…現実の恐怖から皆実行に移せないのだ。
みんな黙って、犠牲者が増えるのを見ているしかないのか……
しばらく沈黙がながれ、運転手がパーキングに入ろうとすると包丁でおどされ、なかなかバスはとまらない…助けもこない…血生臭いさと死者と恐怖の中、私達は緊張状態だった。

黙っていれば、動かなければ殺されないと…思ってずっと微動だにしなかった。
だけど、バスジャックは恐ろしいことを言いだした。


「こうなったら、五分に一人ずつ殺してやる!フハハハハハ」

きゃ~~~~~!いや!!!誰か、はやクバスジャックされていることに気付いて助けにきてよ!!
男はジロジロ一人ずつ見ながら後部座席の方までいく。

運転手がまたどこかでバスをとめようとしたらヤバいので前の方にいそいでもどってくる。
そこから、また皆を見下すようにじろじろ選んでいる。
誰を殺すが吟味しているらしい。

そんな緊張状態にたえられなくなった、子供が恐怖の余り泣き出した。

「こわいよ~こわいよ~~~~!」
もう大声である。


こっちだって大声で泣きたい!

「うるせい!クソガキ!お前から殺してやる!」

殺気立った目をギラギラさせながらその子供に近かずく。
いたいけな子供まで手にかけるのか!?
「このバスから投げ出してやる!」

母親は子供を必死に守る。その母親を包丁で薙ぐ。

ああ!これで四人目!
子供はぎゃーぎゃーと叫ぶ!
子供を皆の前で投げるところを見せるためか前の方の座席の窓から投げようとするためそこまで移動する。
私の横を通り過ぎる。
だが私はとっさに男の腕をにしがみついてしまった!


(ああああ!私は何を!)

心の底にある正義感が私を動かした。

「なんで、そんな事をするの…?や…やめなさいよ!」

「指図するんじゃねぇーーーー!」

包丁が私の頬をかする。シートに包丁が刺さった。

一瞬殺されたかと思って頭が真っ白になったが子供の泣き声で我にかえった、とても恐ろしい!
心臓の音がくらいドクンドクンバクバクと聞こえ、体がガタガタと震える。

隣に寝ている弟が目覚める気配がした。弟にバスジャックは気がついた。

「こんな状況になってものうのうと寝ているとは!気にくわねぇなぁ~!」

弟の一八〇センチもある長身と屈強の男風の体格を睨みながら憎々し気に言う。彼はどう見てもアキバ系のオタクでひょろっちい男に対して、弟は屈強の男風である。
嫉妬心が湧いたらしい、男は殺気をみなぎらせて叫ぶ。

「俺の方が今は最強に強いんだ!お前のような男だって殺すことができるんだぞ!」

といい寝ているこう見えても小学生の弟の心臓をめがけて包丁を振り上げた!


「きゃーーーー!」
私は思いっきり叫んだ!
「うるせーな!!!」

と弟は不機嫌な声をあげると、バスジャックの頭を片手で鷲掴み、包丁を奪い取り捨て、腹部に拳を数発入れ、最後に頭を殴りつけて投げ飛ばした。

バスジャックヤローはバスの大きなウインドウに体を打ち付けて気絶した。
恐怖からの呆気無い解放だった…

「ん?なんだ?この血まみれのバスは?」
完璧に目覚めた弟は何が起きたか分からない様子だった。

警察と救急車が私たちを保護しバスジャックを逮捕した。
バスから降りると弟に私は簡単に説明をしてやった。

すると弟は、

「オレってやっぱり最強に強い男だなぁ~はっはっは!」

とテレ笑いしながら自我自尊している。そんな弟をみて私は腹が立った…


「テメーが早く起きネェーからこんな目にあったんだろうがぁ!」

弟の急所を蹴り、エルボを食らわし、みぞおちに蹴りを数発入れ弟をのした。

「うわ~ん!ネェちゃんが虐める~!たす…けて……」

そんな姉弟をみた誰かが呟いた。

「最強者は君だ!」と……


終わり

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2012/11/09 (Fri)

真っ暗だ。
真っ暗
真っ暗だからわかる。

私の本当の存在。
光の存在を求める私が。
そして、知る

闇は恐怖じゃなくて安らぎになることを。

とても暗い心になったら闇に身を置き、光を探そう。

それほど深い心の傷だから、
肉体から魂が離れたいと思うこともあるけれど、
これ以上後悔したくないから、

近くにある暗闇に身を置こう。

落ち着いたらあるきだそう。

明日に向かう光を目指して…

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2012/11/09 (Fri)

私の

心はタイル

もとは

白色


いろんな色を塗られて

私は変わる

心を闇にとらわれて
黒く
黒く
黒く黒く黒く…

塗られていっても

涙で心のタイルに
ついた黒を流せば

白に戻る

多少汚れが残っても心の色は
もとにもどる

心はタイル
布や紙のように染まりはしない

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2012/11/09 (Fri)

夢は時を超える

夢は曖昧である

夢は現実では

ありえそうで
ありえない
世界

目が覚めた場こそ
本来の世界

眠りの世界は幻だからこそ
無限に広がり
無限に繋がる

現実の夢は創り

伝えることができる

だから夢は忘れない
夢幻で
無限の力は大切

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2012/11/09 (Fri)
 空は一枚の羽を降らせた。

 ふわふわと羽が落ちくてくるのを、待って両手を水を汲むようにくっつけて羽を受け取った。

 羽の大きさは受け取った時の手の幅と同じ大きさで、真っ白に輝いていた。

 興味半分で受け取った羽だが使い道がない。
 彼女の髪飾りにと思ったが、一枚の羽じゃ見栄えが悪い。
 大きすぎるし、飾り気はない。

 羽に飾りをつければブローチになるかもと、家の中を探したが、良い物が無いどころか散らかっていて埃が積もり汚れている。

 ふと、その羽を使って、埃を掃いてみた。

 すると、ひと掃きで積っていた埃が綺麗に無くなり新品みたいに輝いている。

 しかも羽は埃で汚れず真っ白のままだった。

 これは……!


 と思い、他の埃が積もっているもの、汚れているものを羽で掃いてみた。

 すると、またまた新品同様に綺麗になった。


 これは……

 魔法の羽だ!


 この素晴らしさを皆に見せびらかすと同時に、これを商売にしようと思った。
  掃除屋の商売は繁昌した。

 大切な貴重品をきれいにしたいという人や、企業のゴミを綺麗にし、再利用品にも使える。

 次第に金持ちになったが、毎日、人の埃を掃除するのが面倒になった。

 だから一緒に暮らしている彼女にやらせることにした。

 彼女はとても掃除好きで率先して埃をとり綺麗にしていく。

 俺は社長なので命令をする。

 大きい品の端っこに、まだ残っている埃を彼女が行動する前に口出したりする。
 彼女は俺の言うことを聞くが、その度ジトっと睨まれる。
 なんで睨まれなくてはいけないのか分からない。

 社長の言う事を聞くのが陶然だろう。

 ある日彼女は言った。

「あなたの埃を掃除してあげましょうか?」

 暗い笑みを俺にむける

「俺の部屋は埃一つない。
 とても綺麗だ、必要ないだろう」

「いえ……
 私の目の前に降り積もった埃いるの…
 お金という欲の埃を被り埋もれてしまったあなた自身よっ!」

「?」

 意味が分からない。

 なので訝しむが、彼女はさっと羽を振り上げて俺の頭を羽が掠めた。


 すると俺の体は光だした。

 見る間に昔の羽を手に入れる前の俺になる。

 服装も髪も貧乏臭い。

 人を見下すような荒んだ感情が消えた。

 あの頃の…空の青さに目を細め眺めていた、のんびりとした自分に戻った。

 彼女は暗い笑みではなく、天使の様に微笑んでくれた。

それだけで幸せな気持ちになることが出来た。


 そして今まで汚れる事なく真っ白だった羽が、真っ黒になり埃が散るように消え去った……




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2012/11/09 (Fri)
幸せの青い鳥

 青い鳥を手にした者は幸せを手に入れることができるという……


「旅に出るだぁ?」

 アルの突然の告白にファイは呆れるように、おうむ返しに聞き返した。

「ああ! 幸せの青い鳥探しの旅だ!」

 目を輝かせ拳を空にあげて、やる気満々ということが良く分かる。

「そんなのは単なる伝説。昔話だ。それを目の当たりにしてどうするん 
だよ。幸せの鳥なんか存在するわけないじゃんか」

「いや、存在する! その鳥を手に入れれば絶対に幸せになれるんだ!」

 そして誰よりも幸せに成るんだと、力説するアルをファイは白い目で見、溜め息をつく。

「確かに、この村に生まれて土地を耕し生活を繋ぐ事だけに縛られて細々と暮らすなんてつまんないし、幸せだと思わないけど……青い鳥なんか手に入れるより、都で成功した方が確実じゃないか?」
「夢がないな~お前は!幸せの青い鳥は魔法でパパッとお金持ちとか、いろんな望みを叶えてくれるんだぞ!」

 もう十六歳だというのに小さい子供みたいに根拠のない力説をするアルに、呆れと怒りをファイは感じる。

「ばーか。そんな軽い理由だけで旅に出ようっていうのか? もし、見つけたとして魔法の力なんかなかったら、人生棒にふるようなものじゃねぇか!そしたらふつーの人生、今与えられている仕事をして一生過ごした方が幸せだと思うぜっ」

 ファイは桑を振りかざし土を耕し、自分に与えられた畑仕事の続きをわざとらしく見せびらかしてみせる。


「ほんっとに現実主義者の夢のない、つまらない奴だなお前は!」

 アルは子供のように地団駄を踏んで憤慨したと思うと、急に肩を落とし、地面を見つめ本心を呟くように口にした。

「それにオレは一般的な幸せなんてそれこそ幻想だと思う…そんなの幸せだとも思えない。
みんなが幸せだと言うが、つかの間でいつ消えるか分からないモノだ……目に見えて幸せを象徴するようなモノがオレは欲しいんだ…」

 希望に満ちていた瞳は急に憂い気になる。
 アルの家族はいない。
 幸せだった家庭を流行り病で奪われたのだ。

一人残されたアルの絶望と悲しみは幼馴染みのファイがよく知っていた。
 反論すれば反論が返ってきて話の解決が繋がらないのはいつもの事だった。
 だから、ファイは降参というように手を挙げ分かったと言い、また溜め息をついた。

「お前はいつも意見を曲げない。その意志の強さがあれば鳥は手に入る 
だろう、がんばれよ…」

快くというより仕方なくアルを見送ることにした。

 そして、アルは旅に出た。
 鳥の噂があればどこへでも行ったが鳥を見ることさえなかった。

 だが、諦めなかったアルはついに見る。
 渓谷の森に青い鳥をみつけた。
 それも手に届く木の枝に。
 青い鳥は木に巣を作り雌雄睦まじく卵を暖めている。

 「ああ…やっとみつけた…オレの幸せ…幸せを叶えてくれる青い鳥……」
 手をかざし鳥に触れようとした瞬間、
「――あっ」
 鳥が遠くなる。

そこにいて僕をジッと見ているのに…
 どうして届かない……オレは幸せになりたいのに…叶えて欲しいのに……
 青い鳥しか見ていなかったアルは暗い崖に吸い込まれていくように落 
ちていった……




 良く晴れた青い空を見上げ、ファイは何時もの畑仕事で流れる汗を拭 
く。

「アルが旅立って…もう十年か…」

 あいつは青い鳥を手に入れることが出来ただろうか?
 
幸せにどこかで暮らしているだろうか?

「あなた、お仕事御苦労様。 お弁当もってきたわよ」
 あいつも今頃はこの幸せを味わっているだろうか……

 悟ることができただろうか……

 親友のアルの幸せを思い、再び空を見上げると青い空に溶ける鳥を見 
た。

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2012/11/09 (Fri)
ここはどこ?

私がいる場所は
真白い壁の部屋に
アクセントのように壁の上下に青い縁取りを囲んだ清々しい部屋

その青い縁取りと同じ青い扉に
青いトランプの柄をした絨毯

そのして
黄色い円形のテーブル

こんな部屋みたことない
知らない

けど




不思議の国のアリス


イメージがわく


なら

私は


アリス


になるのか



テーブルの上にはパンと飲み物


飲めや

食えや

しなくては
前に進まないと言うこと?

先に進めばまた
奇っ怪な出来事に遭うというのに

はっきりいって
私はアリスじゃない

物語もうろ覚えだ

それなのにアリスを演じなくてはいけないのか

目の前にある
食物を私は睨む


私が主人公のアリスなら
ぜったいに食べない

飲まない

だって食べたら大変な目に遭うから

後悔するに決まってる。
回れ右をして
私は青い扉をあけた





水を頂戴!

水をっ!

そこにある水を!!


凄く痩せた渇きに渇きまくった
ミイラが目の前に現れた

余りの驚きに扉をバタリと閉める

驚きに胸がドキドキとなる
合わせて激しく息をする

あれはなに?
怖い

でもあんなに
飲みたいなら

あげても良かったのではないかしら


冷静になれば良心がわく



けれど
あの必死な姿を見るのは怖かった。

だって、ミイラに近い程にやせ細って目が血走っていた

水がないって言ったら私の血を吸い取りそう

でも水はこの部屋にある。
これをあの人にあげろということだろうか?
そうすれば

この奇妙な部屋の世界から出られる…

そんな気がしてきた

こわいけれど、勇気をだして
片手に水を持ち再び扉を恐る恐るあける…




あげたい…
あげなくては…っ!

私はだんだん必死になる。

でも扉がなかなか開かない!!
なんで!?

「狭いんだから無理矢理開けないでっ!」
どこかくぐもったようなたぶん女の人の声が叫んだ。

さっきのミイラのようなキイキイ声と対照的だった。
僅かに空いた扉から見えたのは
とてもどっぷりと太った巨人の女だった。

口元からよだれがでて、大きなお腹からはぐうぐうと地響きのように部屋に振動をつたわせた。

さっきの…ミイラがこの巨体になった?


不思議な国のありすなら、大きくなったり小さくなったりするのに…

私以外がミイラにデブになるなんて…客観すぎるアリスの世界

私自身が客観視しているからだろうか…

「あんた…そのへやからおいしそうな匂いがするわね~私に頂戴よ…」

いやしげにぺろりと自らのよだれを舌で拭う。

そして大きな指が扉の隙間から入って来た!!

思いっきりしめようとしたけれど、その隙間から
さっきのミイラの女があらわれて、とっさに私はテーブルまで逃げた。
じりじりとミイラは水を狙ってくる…
いや…私を狙っているのかもしれない…
きっとこの手にある水だけじゃ足りないと考えていそうな目だ

デブの指も引っ込んだとおもったら、顔の半分がドアの向こうから瞳をのぞかせている




そして…だんだん私の意識…
途切れた感情思考がこの危機を乗り越えるヒントを導き出す。

二人は異常にこの水とパンを狙っている
そしていまは
私自身を狙っている…

彼女たちが求めるものは願望

飲食に隠された異常な求め方…
そして私を見つめる姿…

今の私は私自身の望んだ姿…

だってここは
夢の世界…

そしてこの二人も私自身…

二人の気持ちも共通して痛いほど目に見えて表れている
感じ取れてしまっている…

私は二人と対象に食に関心が全くない…
最初にここに来た時アリスのイメージの
前に食べることを拒絶した…

ここから出るということは現実へ戻る事…

現実の私がどうなっているか全く思い出せない…

それが恐怖でもあるけれど、
この危機から乗り越えるには

これしかないのだ!

テーブルに合った

パンを口に必死にほうばる。

喉にパンが詰らないようにバランス良く
水を飲み干した。

必死でもなぜか、このパンがとてもおいしく感じ
水の冷たさ柔らかさが優しく喉を潤す…

ああ…
おいしい…
スッと体に澄み渡っていく…

全て食べ終わったとき
幸せ感と満足感に意識が途切れた…


次の日
目を覚ませば
またもや
さっぱりとした部屋にいた。

真っ白の天井に白いベット
薄青い病院のカーテン…

ベットの両脇には白い服を着た先生と
涙にぬれる母が私を覗き込んでいる…

ああ…
帰ってこれた…

記憶もどうしてここにいるのかも思い出した・・

私は極度の拒食症で倒れてしまったのだ…

夢の中のミイラ程に細い腕ではないが
細い管が黄色い栄養を含んだ点滴を流し込んでいる…

テーブルの色・・・

あれはあの夢は現実と繋がった夢…
その夢を私は忘れなかった・・・

もう水を飲んで喉に手を突っ込んでは物を吐こうとはおもわない


今日与えられたご飯と飲み物はキチンと飲む事
それが出来るようになった事すら感謝


適度に食べた時の満足感と潤いを忘れない
…忘れてはいけない事…



あの夢の部屋にはもう戻りたくないけれど

心に残る不思議な夢の部屋…

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2012/11/09 (Fri)

白鳥に変えられた私

だけど嫌じゃなかった

人間でいるより縛られるものがないから

白鳥の生活になれてしまえばどうということもない

ただ私という存在を感じていられる

だけど



王子に恋をしてしまった

私は貴方に心を縛られる


私ではない私を私だと思い偽りの愛に誓われたくない…


そうよ…

……私は私を一番愛している

そう気づくと自分が情けなくおろかにおもえた…

白鳥である私は自分で呪いをかけている…


愛を誓った姫は本物の姫ではなかった

偽りの誓いを僕はしてしまった

王子の私は皆のまえで恥を晒した

父母の前で悪魔の娘に愛を誓うなど前代未聞だ

皆私を愚かな王子と見るだろう

白鳥の姫だって僕に失望しただろう

プライドが許せない

そんな僕に悪魔は言う

白鳥の姫の呪いはお前には解けない

姫に初恋を抱き愛せるものでなくてはならない

恋を知らぬおろかな王子に姫の呪いを解くことはできぬと


たしかに僕は恋をしらない

人の姿に戻った姫にときめいたがこれが恋だったのだろうか…
あっさり愛を告げるほど姫を愛してただろうか

ただ皆から一人前だと思われたかった

ただの娘を嫁にしたくはなかった

白鳥の姫と出逢って呪いを解ければ
名声も美しい姫も手に入るとの欲望だけだったのだ


改めて気づけば僕は悪魔が言うように
なんておろかな王子
呪いなど解けるはずもない
自分しか愛せないのだから…


自分しか愛せぬのだと呪いが解けず苦しむ白鳥の姫

利己的な王子は白鳥の愛すべきはず姫を悲しい表情でみつめる

ごめん
呪いをといてあげられなくて…

いいのです
分かっていたことだから

ただ自分しか愛せない私がこの呪いを解けなくしているだけ

だけど…

どうしてかしら

貴方が実際に来てくれただけで

今までの悩みなどきえて
ただ貴方が来てくれたそれだけがとても嬉しいのです

幸せなのです

僕も人間だった姫に逢うこと呪いをといて…
めでたく結婚することだけ考えてた

真実の恋や愛なんて考えてなかった

なのに

純白の白鳥の姿の君に僕は心を引かれた

貴女の心がその姿を表しているからだろうね

僕も貴女のような白鳥になっていつまでも君に寄り添いたい…



白鳥の姫を救いにいった王子は

とうとう
帰らない

いや帰りたくないのだろう

地位や名誉に縛られた人間界に…

悪魔は湖の精霊
美しき二人の魂を美しき湖の世界に囲う

美しき白鳥が二羽

互いだけの世界を

いつまでもいとおしく寄り添う…

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2012/11/09 (Fri)

彼は
帰ってしまう

私より家族が大切
心配になったから

わからないでもないわ

でも

あなたは私のことを愛した時のながさを知らない

わかっていない

大切な家族の元へ帰るなら

もう帰ってこないというのなら

返して差し上げる

愛し合った永い時を


ともに過ごしたときの永さにおどろくがいいわ

つかの間の永遠の恋人へ
私から最後に贈る玉手箱

大切に想うのならば
開けないで大切に持っていて・・・

乙姫は亀に乗り陸へ帰る浦島太郎に微笑みながそう願った・・・

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2012/11/09 (Fri)
私を求めて
私の髪の毛をつたって

私に逢いに来て…

私は待っているの
貴方の事を…

私を求めてくれる貴方の事を…

けれど

私を求めなくなったあなたは…
もういらない

私もあなたを求めない…

私に最後に逢いに来る貴方を
私は快く迎える

そして

お別れね…

永遠に

私の髪をつたい降りるあなたは

落ちてゆく…

私は長い長い髪をバッサリと切る
貴方との縁を切るように…

求める貴方をあたらしい貴方を思う事で
私は求めるとともに髪が伸びる

私を求めてほしい恋する魔法で…

さあ…
私を求めて…

ラプンチェルは塔の上から星に願い
地上に思いをはせ
貴方を求めている

永遠に恋する塔の上で・・・

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2012/11/09 (Fri)
月を見る

見つめる

想像する

涙する

遠く月の故郷

地球で生まれ変わり
この地球で幸せ暮らす事が望みだった

記憶が戻ったとき
故郷が恋しくなった

帝の妃になり栄華を誇ることを夢だった


けれど

故郷のほうが恋しくて
遠くにあるから愛おしい

幸せは近くにあったことを実感

そして遠い月を思いかぐや姫は涙する

遠く離れているからこそ幸せな過去を思う。

その思いが故郷へ帰る道をつくった

月の故郷に帰っても

地球の思いでが心に残る

かぐや姫は永遠に想いに囚われる姫

ただ…いまは月で地球の幸せを祈る…

青き星がいつまでも美しく思いであるように

地球からみる月が美しく見えるように・・・

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2012/10/10 (Wed)
チリンチリン。

 二つのグラスの縁を軽く重ね音を鳴らします。
 それぞれに猫の絵が描かれたグラスは声を重ねて鳴きます。

 一つは空色の猫。
 丸くなって眠っている絵だけれど、楽しげに微笑んで、性格はおとなしそうに見えます。

もう一つは桃色の猫。
 楽しげに走っている猫の絵だ。性格は空色猫と対照的に活発的に見えます。

 二匹の猫はとても仲良しです。
 性格は違うけれど、お互いを思う優しい心は同じです。



桃色猫は外へ出かけるのが大好きです。

 いつも空色猫を置いてお散歩をします。

 空色猫は、家で眠るのが好きでいつも眠ってに夢を見ます。

 夢の中では空色猫も外に出て桃色猫と遊び、

外から帰ってきた桃色猫は一緒に丸くなっておとなしく家にいます。

ある日、桃色猫は突然帰って来なくなりました。
 空色猫はとても、不安で心配で、桃色猫を一生懸命探しました。

 そんな様子を見た飼い主は空色猫にいいました。


「桃色猫は…車にはねられて死んじゃったんだ……」
 そのことを知った空色猫は信じられませんでした。

 けれど、探しても探しても桃色猫には会えません。

空色猫は探し疲れて眠った夢の中でも桃色猫を探しました。

「桃色猫~桃色猫~どこにいったの?会えないととっても寂しくてつまらないよ~」

 そう、いいながら、何にもない真っ白な世界を走り回りました。

「空色猫、空色猫ここだよ。君のそばにいるよ」


はっと振り向くと桃色猫が後ろに座ってました。
 夢の中の桃色猫も現実とおなじに、活発に明るく楽しげに微笑んでくれるのに、いつもと違って、悲しげに空色猫をみつめています。

「いつも置いていってゴメンね。
心配かけてゴメンね。
会えなくてゴメンね。」

「ほんと、心配したよ、でも会えたから許してあげる。
また一緒に遊ぼうよ」

 空色猫は安心して、桃色猫に寄り添おうとします。
 けれど、するりと身体をとおりぬけてしまったのです。

 おどろく空色猫に桃色猫は涙を一つこぼし言いました。

もう、夢の中でさえあそべないんだ…
…だから、ゴメンね…」

 その言葉を言うとぽろぽろと溢れた涙をおとします。

 空色猫もその寂しさが伝わって涙があふれだします。

「空色猫はゆっくり私のところに来てね、そこで私は空色猫をまっているから…」

そういうと桃色猫はキラキラ身体がお星さまのように輝くと天へ昇っていきました。

 目が覚めた空色猫は涙が止りませんでした。


 ずっと泣き続けました。

 飼い主は、空色猫が可愛そうになり、桃色猫そっくりな絵をグラスに
描きました。

 空色猫はそのグラスから、死が来るまで離れませんでした。




 飼い主は、もう一つ、グラスに青色音を描きました。
 二つのグラスが並ぶと二匹が生返った様です。

チリンチリン…

 グラスを鳴らすと空色猫と桃色猫の鳴き声が楽しく鳴いている様に感じるのでした。

おわり。






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* ILLUSTRATION BY nyao *