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佐井花烏月(さいかうづき)
HP:
性別:
女性
職業:
一応漫画家?
趣味:
漫画を描く事
自己紹介:
佐井花烏月(さいかうづき)ともうします。
ここのブログでは
イラスト付童話や小説を制作していこうと思ってます。
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2013/11/11 (Mon)
葛葉姫鬼譚
事の始まりの風
時は平安時代。
貴族社会は位をあげるために自分の娘を帝の妃にしたり、身分の高い姫のもとに通い位を極めたりする。
能力がある公達を退いて出世し、栄華を極め、邪魔な貴族たちを不幸に陥れたりした…
陥れられた男は鬼になり都に災いを起こす…
身分低い女と愛しあい、一緒に暮らしたいといっていた男が出世に目を暗み女を捨てる。
捨てられた女はそうは知らずに男を待ち続け、それを知った女は
怒り悲しみ憎しみ鬼となる…
その思い…鬼たちは呪う念の姿にかえ風に運ばれていく…その風を念風という。
念風はめぐる都を巡る…そして同じ思いを持つ者に憑き鬼へと変化させていく…
一人の姫が念風に憑かれた。
姫は風にあたった瞬間バタリと倒れた。
「姫様!?」
姫付きの老いた女房は慌てて姫のもとに駆け付け抱き起こす。
姫の長く美しい髪が顔を遮り隠している。
「ドウシテイッテシマッタノ…ドウシテ……ワタシヲノコシテトオクヘ…正樹サマ…
ドウシテ……」
悲しい悲痛な声…愛おしい者をなくして悲しく思うそんな声だった。
だけど、突然激しい怒り声になった。
「コノウラミハラサズニオクベキカ!」
姫は今はいない誰かを力いっぱい掴むような手付きで、空をつかみそのまま倒れた。
顔は何時もの姫に戻っていただが…姫の周りに不吉な影の気配は消えなかった。
女房は我にかえり、姫をそのままにしてしまったが、恐怖が先立って助けてくれるものを呼ぶ。
「だれかー!だれかー!早う陰陽師を!姫が鬼に憑かれた!」
あの人はかえってこない…私を置いていってしまったから…
必ず私のもとに帰ってくると笑顔で私告げたのに…わたしはまっていたのに……
貴族社会は位をあげるために自分の娘を帝の妃にしたり、身分の高い姫のもとに通い位を極めたりする。
能力がある公達を退いて出世し、栄華を極め、邪魔な貴族たちを不幸に陥れたりした…
陥れられた男は鬼になり都に災いを起こす…
身分低い女と愛しあい、一緒に暮らしたいといっていた男が出世に目を暗み女を捨てる。
捨てられた女はそうは知らずに男を待ち続け、それを知った女は
怒り悲しみ憎しみ鬼となる…
その思い…鬼たちは呪う念の姿にかえ風に運ばれていく…その風を念風という。
念風はめぐる都を巡る…そして同じ思いを持つ者に憑き鬼へと変化させていく…
一人の姫が念風に憑かれた。
姫は風にあたった瞬間バタリと倒れた。
「姫様!?」
姫付きの老いた女房は慌てて姫のもとに駆け付け抱き起こす。
姫の長く美しい髪が顔を遮り隠している。
「ドウシテイッテシマッタノ…ドウシテ……ワタシヲノコシテトオクヘ…正樹サマ…
ドウシテ……」
悲しい悲痛な声…愛おしい者をなくして悲しく思うそんな声だった。
だけど、突然激しい怒り声になった。
「コノウラミハラサズニオクベキカ!」
姫は今はいない誰かを力いっぱい掴むような手付きで、空をつかみそのまま倒れた。
顔は何時もの姫に戻っていただが…姫の周りに不吉な影の気配は消えなかった。
女房は我にかえり、姫をそのままにしてしまったが、恐怖が先立って助けてくれるものを呼ぶ。
「だれかー!だれかー!早う陰陽師を!姫が鬼に憑かれた!」
あの人はかえってこない…私を置いていってしまったから…
必ず私のもとに帰ってくると笑顔で私告げたのに…わたしはまっていたのに……
希代の陰陽師の娘☆葛葉姫☆
平安時代それは平和な世とは裏腹に、夜ともなれば百鬼夜行という物の怪たちが京を練り歩き、すきあらば疫神が京に被害を起こすため侵入しようと虎視眈々と狙っていた時代。
都を守る役目を担う希代の陰陽師安部晴明はある事件で邸を留守にしていた。
その留守をまかされていた一人の少女は昼の京同じように平和で暇な生活を送っていた。
「あ~~~あ~つま~んな~い!」
ゴロンと寝転がり、読みかけていた絵巻ものを足で蹴飛ばし、絵巻ものは広がっていく。
広がっているのは絵巻以外にもある。
囲碁の石は散乱し、父からもらった見本の札を清書していた紙は紙屑として……
見事な散らかしりぶりである。
すべてが暇でたいくつで今の葛葉には何の興味も示さないものだった。
葛葉は今年で10歳になる少女。
ふつうの姫ぎみと異なっていた。
長い髪は高く上の方に縛り上げ、赤いリボンをしているし、桂を着て楚々として深層に隠っているような服装もしていない。
葛葉と同い年くらいの男の童がきるような狩衣をき、括りばかまではなく足首の高さまでに切った緋色の袴をはいている。
まるで白拍子のような姿。
だが、葛葉はその服装が一番自分に似合っていると思うし、なおかつ動きやすいのだ。
「父様はこの頃は忙しくて陰陽師の術とか教えてくれないしー」
またゴロンとする。
その動作をしながら、日当たりのよいところまで転がっていく。
日当たりの良いところまでいくとぬくぬくして気持ちがよい。
大の字になって空をあおぐ。
「それに…光栄さまからお文もまだこなーーーい!つまんなーーーーい!」
不満を大声で叫ぶ。一番の不満は愛しい許嫁からの文が来ないこと。
もう1週間も前に出した返事がこないのだ。そこらへんは恋する姫ぎみそのものだが態度はまだまだ子どもだった。
「まったく…はしたない姫君だな~はしたない上にだらしのない……」
父の式神で葛葉のお付きをしている『氷』が散らかした部屋を見て呆れた声をだした。
「うるさいわね!氷!あんた達が片付ければいいことよー!私は今不機嫌きわまりないの!」
「母親そっくりだな…そーゆーとこ…」
「うるさい!母さまの刑にするわよ!」
うっと氷はつまった。
無言で葛葉が散らかした部屋を片付ける。片付けるからそれだけは止めてくれと態度で示した。
「あの~葛葉ちゃん機嫌の直るお薬が届いたよ」
もう一人の式紙炎がニコニコしながらそういった。
炎は懐から文を取り出し葛葉の前に差し出す。
「光栄様からの文が届いたので持ってきたんだけど…」
「え!ほんと!」
バッと炎の手から手紙を取り文を読む。
光栄様とは葛葉の許嫁の晴明の師匠の息子の賀茂光栄である。
賀茂家の嫡子で晴明と同じぐらいの呪力の持ち主で今年で十九になる。
その許嫁を葛葉はとても好きで恋をしている。
顔いっぱい嬉しい顔をしている。
さっきの不機嫌さは吹っ飛んだようだが、今度は悲しい顔になった。
その表情の変化をみて、心配になった炎と氷は葛葉に問いかける。
「なんてかいてあったの?」
「なんてかいてあったんだ?」
手をフルフルさせながら、涙声でいう。
「光栄様…播磨からなかなか帰って来れないかも知れないって……」
「仕事なんてあの光栄様のことだもの、すぐに終わらせて京に帰ってくるよ」
炎は気の毒にと思い、慰めの言葉をかける。
だが、氷は逆に意地悪くからかうように言う。
「案外播磨に女ができて浮気してたりな。葛葉みたいな子供より大人の女性の方がいいに決まってるしー」
葛葉はキッと氷を睨み……
「母さまの刑決定……」
氷の顔は血の気の引いた顔をして冷や汗をかいて土下座しながら謝る。
「ごめんなさい!ごめんなさい!葛葉様の可愛らしい婚約者がいたら浮気なんて滅相もございません!」
「北の方って相変わらず恐ろしいものね…」
炎も青くなっている。
北の方、葛葉の母親は式神にとってとても恐ろしい存在なのだ。
「わかればよろし!そのかわり、播磨まで私の文を今日中に届けてもらいますからね」
「は………い……」
(播磨ってかなり遠いいよな…今日中って)
「さーてと早速文をかこーっと」
散らかった部屋の中から文箱と机を見つけだし文を書こうとしたその時。
「くずはー!遊びにきたぞ!遊んでたもれ~」
顔や手足にかすり傷をつけた少年源頼光が葛葉の部屋までかけてきた。
「遊んでたもれ葛葉」
声はとても弾んでいて、もしお尻に尻尾がついてたら、はち切れんばかりに振ってい
るんだろうなと思う程元気な男の子だ。
葛葉はそんな頼光を見て呆れた顔をした。
「あんた、どこから入ってきたのよ。家の門は無かったはずよ」
晴明が留守の時は必ず門は邸にない。
呪力によって消されている。
「そんなの!愛の力で入れたに決まってるだろ!
光栄はすんなり入れるだろうけど呪力なんて持ってない俺は愛の力で高い壁を苦労しながらもよじ登りつつ、葛葉にあいたい一心でここまでたどり着けたのだ!
凄いだろ~愛の力って!」
頼光は武勇伝のごとく語る。
葛葉は呆れた。
この邸門がなくてもこのようにして、入って来れるなんて、もっと他の対策を父にとってもらった方がいいなと思った。
この少年源頼光は武士の頭を勤める清和源氏の源満仲の息子である。
葛葉と同い年で邸も近所だ。
そのため幼馴染みでお互い知らないことは無い。
葛葉はただの幼馴染みだと思っているが、頼光は葛葉に恋をしている。
「僕達はさがろうか?氷。」
「そうだな。」
二人の式神は下がろうとしたとき、葛葉がドスの聞いた声で氷を呼び止める。
「文届けわすれたらどうなるか分かってるわよね…」
(うっ…しつこい…本当に北の方似だな…)
と氷はつくづくおもった。
「葛葉、鬼の女が出たって話を知ってるか?今京を騒がせているんだぜ」
「えーーまた出たの?今度はどんな鬼?」
怨霊が跋扈するこの時代、この手の話は尽きることはないのだが、世間の噂と言うのは大事な情報源でもあるし、世間話のネタにもなる。
二人はいつものように高欄に腰掛けて、葛葉は頼光の話を聞く。
話の内容はこうだ。
鬼が現れたのは中納言の邸だ。
中納言は自分の邸に使える女房と浮気をしているころだった。
仲睦まじく夢心地に包まれていた時いきなり、鬼女が現れ、中納言の頭をワシつかみにし、中納言の体を真っ二つに引き裂いた。
その鬼女は気がすんだように、ふっと笑うと消えたそうだ。
次の現れた所は権少将のところ。中納言と同じ殺され方をした。
あと他三名。五人とも共通点があった。
女遊びが好きで北の方やそれまで付き合ってきた女達を捨てたり、弄ぶことで有名だった。
そして、この頃は都中の男は女遊びを控えるようになったらしい。
「へーそんなの自業自得てところでしょー女にとって正義の味方って感じでいいと思うな。」
「そうかー?正義味方だったら人殺しはしないだろ?」
「あんたは男だがらそういうのよ。とーぜんの報い!」
「じゃあ、光栄も男だろ!」
葛葉はひとさし指をたててチッチッと指をふる。
そして自信を持って断言をした。
「光栄様は特別。
光栄様はそんなことはしませーんだ。
光栄様は私のことを愛してるんだもの」
頼光は意地悪したくなった。
好きな女の子から他の男の名前を呼ばれるのは、あまり気に入らない、しかも恋のライバルのこととなればなおさらだ。
「光栄だってわからないぜ大人の男だし、遠い播磨で浮気して鬼女に殺されていたりしてな!」
「お前こそ殺されろ――!!」
バァチン!!
という頼光の頬を叩く音が都中に響き渡った……
つづく
都を守る役目を担う希代の陰陽師安部晴明はある事件で邸を留守にしていた。
その留守をまかされていた一人の少女は昼の京同じように平和で暇な生活を送っていた。
「あ~~~あ~つま~んな~い!」
ゴロンと寝転がり、読みかけていた絵巻ものを足で蹴飛ばし、絵巻ものは広がっていく。
広がっているのは絵巻以外にもある。
囲碁の石は散乱し、父からもらった見本の札を清書していた紙は紙屑として……
見事な散らかしりぶりである。
すべてが暇でたいくつで今の葛葉には何の興味も示さないものだった。
葛葉は今年で10歳になる少女。
ふつうの姫ぎみと異なっていた。
長い髪は高く上の方に縛り上げ、赤いリボンをしているし、桂を着て楚々として深層に隠っているような服装もしていない。
葛葉と同い年くらいの男の童がきるような狩衣をき、括りばかまではなく足首の高さまでに切った緋色の袴をはいている。
まるで白拍子のような姿。
だが、葛葉はその服装が一番自分に似合っていると思うし、なおかつ動きやすいのだ。
「父様はこの頃は忙しくて陰陽師の術とか教えてくれないしー」
またゴロンとする。
その動作をしながら、日当たりのよいところまで転がっていく。
日当たりの良いところまでいくとぬくぬくして気持ちがよい。
大の字になって空をあおぐ。
「それに…光栄さまからお文もまだこなーーーい!つまんなーーーーい!」
不満を大声で叫ぶ。一番の不満は愛しい許嫁からの文が来ないこと。
もう1週間も前に出した返事がこないのだ。そこらへんは恋する姫ぎみそのものだが態度はまだまだ子どもだった。
「まったく…はしたない姫君だな~はしたない上にだらしのない……」
父の式神で葛葉のお付きをしている『氷』が散らかした部屋を見て呆れた声をだした。
「うるさいわね!氷!あんた達が片付ければいいことよー!私は今不機嫌きわまりないの!」
「母親そっくりだな…そーゆーとこ…」
「うるさい!母さまの刑にするわよ!」
うっと氷はつまった。
無言で葛葉が散らかした部屋を片付ける。片付けるからそれだけは止めてくれと態度で示した。
「あの~葛葉ちゃん機嫌の直るお薬が届いたよ」
もう一人の式紙炎がニコニコしながらそういった。
炎は懐から文を取り出し葛葉の前に差し出す。
「光栄様からの文が届いたので持ってきたんだけど…」
「え!ほんと!」
バッと炎の手から手紙を取り文を読む。
光栄様とは葛葉の許嫁の晴明の師匠の息子の賀茂光栄である。
賀茂家の嫡子で晴明と同じぐらいの呪力の持ち主で今年で十九になる。
その許嫁を葛葉はとても好きで恋をしている。
顔いっぱい嬉しい顔をしている。
さっきの不機嫌さは吹っ飛んだようだが、今度は悲しい顔になった。
その表情の変化をみて、心配になった炎と氷は葛葉に問いかける。
「なんてかいてあったの?」
「なんてかいてあったんだ?」
手をフルフルさせながら、涙声でいう。
「光栄様…播磨からなかなか帰って来れないかも知れないって……」
「仕事なんてあの光栄様のことだもの、すぐに終わらせて京に帰ってくるよ」
炎は気の毒にと思い、慰めの言葉をかける。
だが、氷は逆に意地悪くからかうように言う。
「案外播磨に女ができて浮気してたりな。葛葉みたいな子供より大人の女性の方がいいに決まってるしー」
葛葉はキッと氷を睨み……
「母さまの刑決定……」
氷の顔は血の気の引いた顔をして冷や汗をかいて土下座しながら謝る。
「ごめんなさい!ごめんなさい!葛葉様の可愛らしい婚約者がいたら浮気なんて滅相もございません!」
「北の方って相変わらず恐ろしいものね…」
炎も青くなっている。
北の方、葛葉の母親は式神にとってとても恐ろしい存在なのだ。
「わかればよろし!そのかわり、播磨まで私の文を今日中に届けてもらいますからね」
「は………い……」
(播磨ってかなり遠いいよな…今日中って)
「さーてと早速文をかこーっと」
散らかった部屋の中から文箱と机を見つけだし文を書こうとしたその時。
「くずはー!遊びにきたぞ!遊んでたもれ~」
顔や手足にかすり傷をつけた少年源頼光が葛葉の部屋までかけてきた。
「遊んでたもれ葛葉」
声はとても弾んでいて、もしお尻に尻尾がついてたら、はち切れんばかりに振ってい
るんだろうなと思う程元気な男の子だ。
葛葉はそんな頼光を見て呆れた顔をした。
「あんた、どこから入ってきたのよ。家の門は無かったはずよ」
晴明が留守の時は必ず門は邸にない。
呪力によって消されている。
「そんなの!愛の力で入れたに決まってるだろ!
光栄はすんなり入れるだろうけど呪力なんて持ってない俺は愛の力で高い壁を苦労しながらもよじ登りつつ、葛葉にあいたい一心でここまでたどり着けたのだ!
凄いだろ~愛の力って!」
頼光は武勇伝のごとく語る。
葛葉は呆れた。
この邸門がなくてもこのようにして、入って来れるなんて、もっと他の対策を父にとってもらった方がいいなと思った。
この少年源頼光は武士の頭を勤める清和源氏の源満仲の息子である。
葛葉と同い年で邸も近所だ。
そのため幼馴染みでお互い知らないことは無い。
葛葉はただの幼馴染みだと思っているが、頼光は葛葉に恋をしている。
「僕達はさがろうか?氷。」
「そうだな。」
二人の式神は下がろうとしたとき、葛葉がドスの聞いた声で氷を呼び止める。
「文届けわすれたらどうなるか分かってるわよね…」
(うっ…しつこい…本当に北の方似だな…)
と氷はつくづくおもった。
「葛葉、鬼の女が出たって話を知ってるか?今京を騒がせているんだぜ」
「えーーまた出たの?今度はどんな鬼?」
怨霊が跋扈するこの時代、この手の話は尽きることはないのだが、世間の噂と言うのは大事な情報源でもあるし、世間話のネタにもなる。
二人はいつものように高欄に腰掛けて、葛葉は頼光の話を聞く。
話の内容はこうだ。
鬼が現れたのは中納言の邸だ。
中納言は自分の邸に使える女房と浮気をしているころだった。
仲睦まじく夢心地に包まれていた時いきなり、鬼女が現れ、中納言の頭をワシつかみにし、中納言の体を真っ二つに引き裂いた。
その鬼女は気がすんだように、ふっと笑うと消えたそうだ。
次の現れた所は権少将のところ。中納言と同じ殺され方をした。
あと他三名。五人とも共通点があった。
女遊びが好きで北の方やそれまで付き合ってきた女達を捨てたり、弄ぶことで有名だった。
そして、この頃は都中の男は女遊びを控えるようになったらしい。
「へーそんなの自業自得てところでしょー女にとって正義の味方って感じでいいと思うな。」
「そうかー?正義味方だったら人殺しはしないだろ?」
「あんたは男だがらそういうのよ。とーぜんの報い!」
「じゃあ、光栄も男だろ!」
葛葉はひとさし指をたててチッチッと指をふる。
そして自信を持って断言をした。
「光栄様は特別。
光栄様はそんなことはしませーんだ。
光栄様は私のことを愛してるんだもの」
頼光は意地悪したくなった。
好きな女の子から他の男の名前を呼ばれるのは、あまり気に入らない、しかも恋のライバルのこととなればなおさらだ。
「光栄だってわからないぜ大人の男だし、遠い播磨で浮気して鬼女に殺されていたりしてな!」
「お前こそ殺されろ――!!」
バァチン!!
という頼光の頬を叩く音が都中に響き渡った……
つづく
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