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童話、イラスト、物語だけを語ります。 個人的なことは書きません。 純粋に物語だけのブログです。
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佐井花烏月(さいかうづき)
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一応漫画家?
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漫画を描く事
自己紹介:
佐井花烏月(さいかうづき)ともうします。

ここのブログでは
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2013/12/16 (Mon)

異様な邸

 そこは大きな邸だった。
 葛葉が住んでいる一条戻り橋の邸よりはるかに大きい造りの邸で、身分の高さがうかがえる。
 今上帝の弟の宮様の邸である。

 宮の娘の姫が鬼に憑かれて、今世間を騒がしている鬼の根元だという。
 葛葉はぶるっと肩を震わせる。

 父、安倍晴明に付き、いろいろ邸を回ったことがあり、無気味な気配は慣れていたが、
 このように強い渦は初めてである。

(安倍晴明の娘である私がこんなことでびびってどうするのよ!気をしっかり持たな
いと!)

 顔をふりつつ自分を戒め気をひきしめる。

 そっと頼光の手が葛葉の手を握りしめてきた。
 そして、自分の胸のところに重ね合わせたてを持っていき真剣な顔で葛葉を見つめる。
 業とそういう形に頼光は持ってきたのである。

「なぁに……?この手は…?」

 葛葉は不機嫌な声でいった。
 頼光の意図が見えたからだ。
 案の定頼光は
「葛葉こ…こわいのか?」
「なにが?」

 葛葉は手を上下に思いっきりブンブンと手を解こうと振払おうとしてたが、頼光は離そうとしない。

「鬼が怖いのであろう?俺が手を握ってやるから安心しろ」

 いかにも男らしい台詞を言う。
 だが、声は震えていた。手も冷たい。
 葛葉はニヤっと意地悪く笑う。

「そーいえば頼光も少しは見えるんだったよねー鬼とか幽霊とか」
「あう!」
「あんたの方が怖がってるんじゃないの?」
「そんなことは…な……ないぞ!」
「どーかしら?それにしても手が冷たいんだけど?」
 その言葉に頼光はパッと手をはなした。

 男の自分の方が怖がって、好きな葛葉にこれ以上に怖がっているのを知られるのが恥ずかしくなっったからだ。

 ギギギギっと門がいきなり開いた。

それはとてもこの邸の雰囲気にあった無気味な音だった。
 頼光はさっと驚きの余り葛葉の後に隠れた。

「あんたね!私を守ってくれるんじゃなかったの!?」

 葛葉の声も上擦っていた。
 門から出てきたのは老女房と門衛だった。
 その老女房の皺くちゃの顔と白髪をみて頼光は叫んだ。

「鬼ばばぁだぁーーーうっ!」

 葛葉は頼光の腹に拳を入れて黙らせた。

「失礼なこというじゃないわよ!あー見えても人間よ!」
「失礼な童どもめ……」
 と老女房は怒りを静かにあらわしていた。

 門衛たちは苦笑した。

 門衛の一人が葛葉が乗ってきた牛車の家紋を見て安倍家のものだと分かり、牛車を中に通してくれた。
 老女房は葛葉たちを見て少し驚いた。

 安倍晴明自身ではなく子供2人だけだったからだ。

「あ、あの!私は、父、安倍晴明の代理で参りました葛葉と申します。
そしてこっちは……」

「清和源氏、源満仲の息子、源頼光ともうします」

 頼光は片膝をついてなれたようにお辞儀をいた。

「晴明殿からはお話を伺っておりまする。どうぞ中にお入りくださいませ」
 老女房は、ふーっと、ため息を吐いた。本当にこんな子供を寄越すとはと困ったように呟いた。

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