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佐井花烏月(さいかうづき)
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職業:
一応漫画家?
趣味:
漫画を描く事
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佐井花烏月(さいかうづき)ともうします。
ここのブログでは
イラスト付童話や小説を制作していこうと思ってます。
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2012/11/09 (Fri)
オリジナル童話
幸せの青い鳥
青い鳥を手にした者は幸せを手に入れることができるという……
「旅に出るだぁ?」
アルの突然の告白にファイは呆れるように、おうむ返しに聞き返した。
「ああ! 幸せの青い鳥探しの旅だ!」
目を輝かせ拳を空にあげて、やる気満々ということが良く分かる。
「そんなのは単なる伝説。昔話だ。それを目の当たりにしてどうするん
だよ。幸せの鳥なんか存在するわけないじゃんか」
「いや、存在する! その鳥を手に入れれば絶対に幸せになれるんだ!」
そして誰よりも幸せに成るんだと、力説するアルをファイは白い目で見、溜め息をつく。
「確かに、この村に生まれて土地を耕し生活を繋ぐ事だけに縛られて細々と暮らすなんてつまんないし、幸せだと思わないけど……青い鳥なんか手に入れるより、都で成功した方が確実じゃないか?」
「夢がないな~お前は!幸せの青い鳥は魔法でパパッとお金持ちとか、いろんな望みを叶えてくれるんだぞ!」
もう十六歳だというのに小さい子供みたいに根拠のない力説をするアルに、呆れと怒りをファイは感じる。
「ばーか。そんな軽い理由だけで旅に出ようっていうのか? もし、見つけたとして魔法の力なんかなかったら、人生棒にふるようなものじゃねぇか!そしたらふつーの人生、今与えられている仕事をして一生過ごした方が幸せだと思うぜっ」
ファイは桑を振りかざし土を耕し、自分に与えられた畑仕事の続きをわざとらしく見せびらかしてみせる。
「ほんっとに現実主義者の夢のない、つまらない奴だなお前は!」
アルは子供のように地団駄を踏んで憤慨したと思うと、急に肩を落とし、地面を見つめ本心を呟くように口にした。
「それにオレは一般的な幸せなんてそれこそ幻想だと思う…そんなの幸せだとも思えない。
みんなが幸せだと言うが、つかの間でいつ消えるか分からないモノだ……目に見えて幸せを象徴するようなモノがオレは欲しいんだ…」
希望に満ちていた瞳は急に憂い気になる。
アルの家族はいない。
幸せだった家庭を流行り病で奪われたのだ。
一人残されたアルの絶望と悲しみは幼馴染みのファイがよく知っていた。
反論すれば反論が返ってきて話の解決が繋がらないのはいつもの事だった。
だから、ファイは降参というように手を挙げ分かったと言い、また溜め息をついた。
「お前はいつも意見を曲げない。その意志の強さがあれば鳥は手に入る
だろう、がんばれよ…」
快くというより仕方なくアルを見送ることにした。
そして、アルは旅に出た。
鳥の噂があればどこへでも行ったが鳥を見ることさえなかった。
だが、諦めなかったアルはついに見る。
渓谷の森に青い鳥をみつけた。
それも手に届く木の枝に。
青い鳥は木に巣を作り雌雄睦まじく卵を暖めている。
「ああ…やっとみつけた…オレの幸せ…幸せを叶えてくれる青い鳥……」
手をかざし鳥に触れようとした瞬間、
「――あっ」
鳥が遠くなる。
そこにいて僕をジッと見ているのに…
どうして届かない……オレは幸せになりたいのに…叶えて欲しいのに……
青い鳥しか見ていなかったアルは暗い崖に吸い込まれていくように落
ちていった……
良く晴れた青い空を見上げ、ファイは何時もの畑仕事で流れる汗を拭
く。
「アルが旅立って…もう十年か…」
あいつは青い鳥を手に入れることが出来ただろうか?
幸せにどこかで暮らしているだろうか?
「あなた、お仕事御苦労様。 お弁当もってきたわよ」
あいつも今頃はこの幸せを味わっているだろうか……
悟ることができただろうか……
親友のアルの幸せを思い、再び空を見上げると青い空に溶ける鳥を見
た。
青い鳥を手にした者は幸せを手に入れることができるという……
「旅に出るだぁ?」
アルの突然の告白にファイは呆れるように、おうむ返しに聞き返した。
「ああ! 幸せの青い鳥探しの旅だ!」
目を輝かせ拳を空にあげて、やる気満々ということが良く分かる。
「そんなのは単なる伝説。昔話だ。それを目の当たりにしてどうするん
だよ。幸せの鳥なんか存在するわけないじゃんか」
「いや、存在する! その鳥を手に入れれば絶対に幸せになれるんだ!」
そして誰よりも幸せに成るんだと、力説するアルをファイは白い目で見、溜め息をつく。
「確かに、この村に生まれて土地を耕し生活を繋ぐ事だけに縛られて細々と暮らすなんてつまんないし、幸せだと思わないけど……青い鳥なんか手に入れるより、都で成功した方が確実じゃないか?」
「夢がないな~お前は!幸せの青い鳥は魔法でパパッとお金持ちとか、いろんな望みを叶えてくれるんだぞ!」
もう十六歳だというのに小さい子供みたいに根拠のない力説をするアルに、呆れと怒りをファイは感じる。
「ばーか。そんな軽い理由だけで旅に出ようっていうのか? もし、見つけたとして魔法の力なんかなかったら、人生棒にふるようなものじゃねぇか!そしたらふつーの人生、今与えられている仕事をして一生過ごした方が幸せだと思うぜっ」
ファイは桑を振りかざし土を耕し、自分に与えられた畑仕事の続きをわざとらしく見せびらかしてみせる。
「ほんっとに現実主義者の夢のない、つまらない奴だなお前は!」
アルは子供のように地団駄を踏んで憤慨したと思うと、急に肩を落とし、地面を見つめ本心を呟くように口にした。
「それにオレは一般的な幸せなんてそれこそ幻想だと思う…そんなの幸せだとも思えない。
みんなが幸せだと言うが、つかの間でいつ消えるか分からないモノだ……目に見えて幸せを象徴するようなモノがオレは欲しいんだ…」
希望に満ちていた瞳は急に憂い気になる。
アルの家族はいない。
幸せだった家庭を流行り病で奪われたのだ。
一人残されたアルの絶望と悲しみは幼馴染みのファイがよく知っていた。
反論すれば反論が返ってきて話の解決が繋がらないのはいつもの事だった。
だから、ファイは降参というように手を挙げ分かったと言い、また溜め息をついた。
「お前はいつも意見を曲げない。その意志の強さがあれば鳥は手に入る
だろう、がんばれよ…」
快くというより仕方なくアルを見送ることにした。
そして、アルは旅に出た。
鳥の噂があればどこへでも行ったが鳥を見ることさえなかった。
だが、諦めなかったアルはついに見る。
渓谷の森に青い鳥をみつけた。
それも手に届く木の枝に。
青い鳥は木に巣を作り雌雄睦まじく卵を暖めている。
「ああ…やっとみつけた…オレの幸せ…幸せを叶えてくれる青い鳥……」
手をかざし鳥に触れようとした瞬間、
「――あっ」
鳥が遠くなる。
そこにいて僕をジッと見ているのに…
どうして届かない……オレは幸せになりたいのに…叶えて欲しいのに……
青い鳥しか見ていなかったアルは暗い崖に吸い込まれていくように落
ちていった……
良く晴れた青い空を見上げ、ファイは何時もの畑仕事で流れる汗を拭
く。
「アルが旅立って…もう十年か…」
あいつは青い鳥を手に入れることが出来ただろうか?
幸せにどこかで暮らしているだろうか?
「あなた、お仕事御苦労様。 お弁当もってきたわよ」
あいつも今頃はこの幸せを味わっているだろうか……
悟ることができただろうか……
親友のアルの幸せを思い、再び空を見上げると青い空に溶ける鳥を見
た。
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