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童話、イラスト、物語だけを語ります。 個人的なことは書きません。 純粋に物語だけのブログです。
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佐井花烏月(さいかうづき)
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2012/11/09 (Fri)

白鳥に変えられた私

だけど嫌じゃなかった

人間でいるより縛られるものがないから

白鳥の生活になれてしまえばどうということもない

ただ私という存在を感じていられる

だけど



王子に恋をしてしまった

私は貴方に心を縛られる


私ではない私を私だと思い偽りの愛に誓われたくない…


そうよ…

……私は私を一番愛している

そう気づくと自分が情けなくおろかにおもえた…

白鳥である私は自分で呪いをかけている…


愛を誓った姫は本物の姫ではなかった

偽りの誓いを僕はしてしまった

王子の私は皆のまえで恥を晒した

父母の前で悪魔の娘に愛を誓うなど前代未聞だ

皆私を愚かな王子と見るだろう

白鳥の姫だって僕に失望しただろう

プライドが許せない

そんな僕に悪魔は言う

白鳥の姫の呪いはお前には解けない

姫に初恋を抱き愛せるものでなくてはならない

恋を知らぬおろかな王子に姫の呪いを解くことはできぬと


たしかに僕は恋をしらない

人の姿に戻った姫にときめいたがこれが恋だったのだろうか…
あっさり愛を告げるほど姫を愛してただろうか

ただ皆から一人前だと思われたかった

ただの娘を嫁にしたくはなかった

白鳥の姫と出逢って呪いを解ければ
名声も美しい姫も手に入るとの欲望だけだったのだ


改めて気づけば僕は悪魔が言うように
なんておろかな王子
呪いなど解けるはずもない
自分しか愛せないのだから…


自分しか愛せぬのだと呪いが解けず苦しむ白鳥の姫

利己的な王子は白鳥の愛すべきはず姫を悲しい表情でみつめる

ごめん
呪いをといてあげられなくて…

いいのです
分かっていたことだから

ただ自分しか愛せない私がこの呪いを解けなくしているだけ

だけど…

どうしてかしら

貴方が実際に来てくれただけで

今までの悩みなどきえて
ただ貴方が来てくれたそれだけがとても嬉しいのです

幸せなのです

僕も人間だった姫に逢うこと呪いをといて…
めでたく結婚することだけ考えてた

真実の恋や愛なんて考えてなかった

なのに

純白の白鳥の姿の君に僕は心を引かれた

貴女の心がその姿を表しているからだろうね

僕も貴女のような白鳥になっていつまでも君に寄り添いたい…



白鳥の姫を救いにいった王子は

とうとう
帰らない

いや帰りたくないのだろう

地位や名誉に縛られた人間界に…

悪魔は湖の精霊
美しき二人の魂を美しき湖の世界に囲う

美しき白鳥が二羽

互いだけの世界を

いつまでもいとおしく寄り添う…

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